第11話 龍との対面。その正体。

アザレアの言う通りに神殿の奥深くに慎重に進むと、地下室での広い空間があって、凍えそうな空気だ。凍えそうな空気の中で暖かい言葉を吐くアザレア、、、!

「お母さん!人間さん連れてきたの!いい人たちだよ!」

お母さん?そうだ。アザレアは龍を親だと勘違いしているのだろう未だ。


しかし、、、それは違った。1人の老いた女性が祠の中にいた。金髪が白くなったかのような髪色だった。ひどく衰弱している。。どうやって今まで生きているのか不思議な存在だ。おそらく龍の神官だった名残だろうか。。しかしながら生きているとは言いづらい状態だ。


アザレアは言った。


「この人が私のお母さんだよ!アダマンチュラは知ってるよね?私をもう目が見えないお母さんから私を引き離してあんなことしたんだもんね?」


それを聞いて俺はまたもや嫌なことだと思った。アザレアも少し意地が強くなってきている。そうだ。もっと言うべきだ。

そして俺も言った。怒気を含ませて。。


「アダマンチュラーーー。。。今の話はお前が言っていた内容と齟齬があるぞ。。」


アダマンチュラは執事人間たちに囲まれて泣きそうな顔でいいのたまった。。


「言っただろう。私は何に変えても凍結人間たちの正体と原因と解決をしたい、と!」


ーー「あゝそうだったな。。お前の性格だとそういうことになるよな。」

ーー「私とリヨンも同情と同感するよ。。呆れた探究心と忠誠心だ。」

ーー「お前らそう言うけど俺だって国王の命令だったらするぜ?アダマンチュラ並みのことは。。?お前たち甘すぎ。」

さまざまなことを言うことで落ち着きを取り戻そうとしていたオレたちはーーアダマンチュラの悲鳴で愚痴が冷めた。


『『リヨン兄妹様!マリー様!ハル様!皆さん!気をつけてください!龍です!』』

執事人間たちが叫んでくる。地下室というのも相まって迫真で芯まで響く声色だった。


叫んでいるのを見た。

そこには地下室に入り切りそうにもない大きな龍が存在した。白銀の龍だった。

彼?彼女?が大きく羽を伸ばすサマはみじろぎが辛そうだ。そして恐ろしい感じをさせてくる。人間では太刀打ちできないような雰囲気だ。


龍はオレたちを見つけて叫んだ。


『アダマンチュラと言うのか?そこの女!!数ヶ月もアザレアに何してくれたのだ?何した?答えろ!!!!』

そしてアダマンチュラが悲鳴を上げた!付き人執事達がざっと守りに入る。

それは暗闇に潜んでいた龍にとっては悲痛なことだったらしい。

龍は少しみじろぎをした。少し呻き声を聞いた。


『すまない。人の子よ。こんな醜態を見せてしまって。』

『アザレア、、、外の世界は辛かっただろう。。』

「どうして?いい人たちだもん!」

頭を左右に振りかざす龍。

オレは自己紹介に入ることにした。

「オレはゴールドマリー。と言う名前で、、、両親がアンタを退治した英雄だと聞かされている。。何か思い当たることはないか。いきなりですまないが。ここの冷気はきつい。」

その紹介を聞いて、、、龍はしばし息を呑み込む。


『すまない、、、両親の名前を教えてくれ。』

「あゝ確か、、、母親がアヴィローズと言う美しい赤毛の女性で父親がアンタの力を得たって言うなんとかヘミングだ。金髪が美しかったらしい。何やらアンタの手下の人間だったそうだ。」


龍は遠吠えを上げた。唸りではなかった。鳴き声である。

その後、、、オレに一礼というか敬礼をしてきた。(それらしき行為だと判断した。)


『すまない取り乱して。遠い話でもあるが、その赤毛の女性の両親に出会ったことがあって我の大切な思い出なのだ。。』

『ちなみにこの子の両親は君の赤毛の女性の兄と、、、そして一緒になった我の力を得たそしてアザレアを産んで枯れてしまった神官女性だ。』

『今でも彼らに危害を加えたのが辛い。自己満足だが。今ではこの哀しみが冷気として伝わっているようだな。。』


意外と人間のような感情を持て余している、、、いや、、、持て余しているからこういう冷気を出しているのだろう。一体何年生きたのか、龍の中でも若いらしい。

龍は唄う。唄うことで冷気を温めるらしい。


“楽しき宴会よ。詩人が歌い手になりして遥か遠きに我我を伝うだろう、、、。“

“いずれか我はいずかしら人間の骸に成り果てる夢を見るだろう。”

“赤毛よ黄金よ漆黒よ黄金よ。懐かしき黄金よ。”

唄と言うより思い出話だった、、、。しかしながら何かおかしい。かなしみが人間のそれなのだ。


「アンタの正体を知りたい。。。。ーーーオレの両親達はもとはここの国王だと日記に書いてた。いい加減な推測だが。」

『そこに気づいてくれていたとはな。。その通りだ、、、。国王と言うより、、、。辛かった。いつの間になったこんな醜い姿が。我を忘れることが。愛おしかったあのもの達にもう会えないのに生きなければいけないのが。』

涙の結晶が流れる。冷気で一体執事人形が凍った。

恐ろしい。そう思ったのか伝わったのだろう。



意を決した風で伝えてきた。



『我を燃やせ!神殿ごと。。。!』『さすれば!灰になれば我とても完全な死体になるはず!』『頼む!』

そう叫んで!アザレアに白い睫毛に覆われた美しい青色の瞳で麗しくーー哀しげにつぶやいた。

『お別れだ、、、アザレア。生きていてくれてそばにいてくれてありがとう。感謝する。。さよならだ。』


アザレアは何かわからない顔をしているようでーー片目から涙を流していた。理解していたのだろう本能で。


ーーありがとう、、、お母さんーー

それはこの場のいるだけの存在している生き屍の生みの親に対しても言っているように聞こえた温かい涙声だった。

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