第10話 些細な出来事だった英雄譚

スクリーン室で実験記録を見た後だとアザレアとアダマンチュラ達への見方が変わってきた。意外とやるとなるととことん追い詰めるのは昔から変わっていないな。アダマンチュラ..。アザレアには何故か同情心とかより可愛い兄妹ができた感じだ。撫でるとへへっと照れ臭いのか慣れていないのか笑んできてくれる。

実験を見た後は実験を中止して{彼女}を人間に戻して(戻せたのは奇跡な気がする)正解だったと思う。子供に対して殺すほどのようなおろそかな扱いだ。しかしながら、目的の成果は得られていない。

「どうするんだ?アダマンチュラ?コレは落とし前つけられる事態なんだろ。それとも議員上とつながって国会上もこの子を隠す気なのか。それとも脅して実験議員団を集めてたのか?」

そう聞きながらアザレアを幼子を落ち着かせるように撫でる。

アダマンチュラと言えば紅茶を一口含んで飲み干し。

「正直言って失敗だ実験は。だが、私は成果を得られたと確信している。」

「オレとしては何が成果を出したのか知らないけれど、この実験は中断したのは褒めてやる。正解だった。酷すぎる。まあ実験なんてそんなもんだろうけれど。凍結人間のことはもう諦めてしまえよ。これからも増えつつあるなら原因は突き止め対処すべきだろうけれど。もう死んでると思った方がいい。そう考えとけよ。もう。」

「やれやれ、君は強いな。。。両親も地下室の神殿で凍結されているのに。。」

オレはイラッときた。

「怒る権利もないし!!何言ってもお前は別にオレには悪くないけれど!!それは強さじゃない!!憐れむな!!」

オレが急に大声を出したのが驚いて怖かったのかアザレアはソファの影まで隠れていってしまった。

オレは急に怒鳴ったのが恥ずかしくなった。

「ごめんな!アザレア!大声をだして。」

アザレアはそうッと聞く。

「あのさ?お二人は喧嘩してるんじゃなくて神殿の地下室からくる人間さんを凍結する空気が知りたいの??それでごちゃごちゃになってるの?」

「あゝ。賢いな。アザレア。」

そうして褒めると途端に頬が輝き出してこう言った。

「私がなんとかできるよ!神殿の祠の秘密隠れ家に連れてって!」「あそこの龍が私の親だよ。!。」「今はまだ眠っているけれど!」いつのまにか『アザレア』は[僕]とは言わず[私]という一人称を使い出した。

ーー時は動き出した。

ーーーそう、、、ゴールドマリーの両親の英雄譚も龍退治と言いつつ、龍の霊脈の力を持った人間と交わってオレを残した。

ーーーーー龍はまだ生きている??


そういう結論に至ったオレたち。


ーーーーーー数日後。ーーーーーー

それで。

社交界で少しだけ仲良くなったーーリヨン率いる王国剣術使いたちと道化師兼暗殺者(他国のスパイなどを内密に消すこと)をしているハーベットさんを連れて龍の後始末を行うことになった。


「リヨン兄妹よろしくな。。」

リヨンは嫌な顔ひとつせず、、、アザレアを受け入れた。彼らにもスクリーンを観て納得してもらった。彼らはオレたちと同年代だし、、、アザレアにも同情的だった、、、ありがたい。アザレアはひとりひとりなかなかお覚えられないようだった。


ハーベットがイヤそうにというか疲れたようにだるい感じで尋ねてくる。

「本当に神殿地下にいるのかよ。龍様様が??それで『龍ファレスト教』と王国の決まりを破ってまで殺す価値あるか??わっかんねー。。まあ手伝ってやるよ手伝う範囲内によるが。。」

怖いやつだ。


彼らの行う危険な任務とは関係ないがーー昔の龍退治はこれから行う退治とは違って、英雄である両親は片方ずつ龍の霊脈の力を持った人間と交わってゴールドマリーとアザレアを残した。



アザレアが言っている、龍が自分の親というのはきっとあの環境での勘違いだ。ずっとあの神殿に隠れて眠らされていたのだ。

アダマンチュラが実験の成果とは、、、ひょっとしたら{彼女}の両親(片割れ)は生きているのかもしれない。龍脈の力がどれだけ人間に及ぼすかはこの子の身体能力が教えてくれた。納得したオレたちは龍退治と同時にやることが増えた。



アダマンチュラとオレの2人の出した答えがそうだ。アザレアはオロオロしている。それを観かねて。

「ほら。ケンカしないで。もう仲直りしよ??ね??」

吟遊詩人を目指している、ハルはまるでお姉さんぶって言うのだ。

まあ俺たちの喧嘩は幼稚に見えたのかもしれない。偉そうな言葉を使って暴言を吐いてただけだ。オレはアザレアの手前、アダマンチュラにお辞儀をして手を差し出した。

アダマンチュラはそういうことに慣れてないので察しが悪かったが数秒してモタモタと握手してくれた。

それを見たアザレアはニコッとした。

「さあ神殿に出発しよう!」アダマンチュラも声を張り上げれるくらいには落ち着いた。

これからだ。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る