第8話 邂逅ーーー血の受け継いだ勇者の子達

うなり声は大きくなった。地下室だからか反響が恐ろしくもあるが、それを出しているのは俺と変わらないもしくは年下の少女のような少年のような子だ。そう思うと、心が痛くなる。


アダマンチュラが大きく命令する。

「研究員たち、ご苦労だった。今日からお前たちは解散してもらう。あと、実験台に要らぬことをした罰を受けてもらうよう、上に言っておく。変態の集まりだったとな!!」

研究員の方々は「なんのことかわからないですねーー。」とニヤニヤしてアダマンチュラの恥を揶揄ってくる。

「ほう!?知らぬ存ぜぬと押し通すか!!女を甘く見るな!!特に私たちを!!執事たちが変装して証拠である記録機械を使って彼女を使ってお前たちの性欲発散させていたのをしっかり見届けたぞ!国王に突き出すつもりだ!明日を楽しみにしていろ!!」


ざわざわ。

研究員たちは戸惑ったあと、怒りを出して保身に走ろうとした。

しかしながら執事人形たちの方が動きが速い。彼らを一斉に束縛すると、武器になるもの、科学物質を簡単に取り上げた。

「『こちらは私達にお任せください。お嬢様は2人を。。』」

「ああわかった。いつも有難う。」


そしてアダマンチュラがゴールドマリーに確認を取る。

「もう許してくれるか?そうでなくてもいいから落ち着いてくれ。少年に会ってくれ。もしかしたら彼を救えるかもしれないんだ。ーーーお前だけが。。」

意味深なことを彼女は言った。俺は戸惑ってうなづく。どう言うことなのか。


奥底にいる彼の鎖、、、目隠し、、、猿轡、、、全て丁寧に外した。

そうしてーー目が合った。オリーブゴールドの瞳と。

彼女はじーと俺を見つめた。

うなり声はもう出さない。

俺は声をかけた。「大丈夫かな?」「怖かっただろう??」とかありきたりの文句しか出なかった。あんなにこの子の処遇を怒っておいて。情けないが、、、しかしこの子に安心して欲しかった。俺は少し触れてこの子の頭を撫でる。

そうしたら気が触れたのか、、、叫んできた。

「ぃぁーーーあぅーーうーあーーー!!」

怒りは彼女から取り除けなかった。どれだけここに閉じ込められていたのか。。どうにか少女を落ち着かせたい。

そう思った時、、、なぜかわからないが唄を囁いていた俺は。


“天の龍よ。水の龍よ。火の龍よ。風の龍よ。神の御許に支えよ。。”“あなたに灯し光は命の水。鱗は天の雫。星の長い旅に心委ね。天の雫を飲み干せ。”“声高き詩人よ。彼女から心を戻せ。声麗しき花神よ。彼女に華の子の蜜を飲むこと許してたもう。”“王国の宝は今眠り。王国の歴史は今蘇り。そうあらん。歌え唄え謡え。天の龍よ。”


どう言うわけなのか、、、詩の歌がリズムの音頭をとって我知らず囁いていた。あゝ、、、吟遊詩人を目指しているハルの影響か。

彼女はと言うと、、、目が吊り目だったのが、、、オリーブの色に落ち着きと理性が出てきた。元々の形であろう美しいアーモンド形に戻っていた。彼女は光輝き身体が美しい鱗を人間の肌へと柔らかいものになっていた。

彼から落ち着いて人間の言葉が出た。

「大丈夫。。。あり、、、がとう。。。。。?あれ、、、僕、、、お話できる、、、、、、。。?。」


俺はなぜか愛おしくなって、、、優しく抱きしめた。

彼女はオドオドしていたけれどしばらくする安心したように俺の腕の中で眠りに着いた。



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