第11話 1月20日
年が明けたが、相変わらずの日々が続く。
仕事に行き、遊びに行き、不安があれば薬を飲む。
お守りのD錠とS錠は少しずつ増えて来ていたが、うまく付き合えていると心療内科の先生からも褒められた。
実家には帰っていないが、先日母から連絡が来た。犬を飼い始めたらしい。
仕事も、遊びも、勉強も病気と向き合いながらだが楽しめている方だと思う。
だが、不意に言いようのない不安に襲われる。
お前は幸せになんかなれない。
お前に結婚なんか出来ない。
私の中にいる怪物が耳元で囁いてくる。
結婚さえすれば幸せになる。この怪物も消えるはずだったのに。
私の中の私の顔をした怪物は呟く。
「約束しただろ。」
こう言う時は薬を飲んで眠りにつく。
眠れない時はもう一つ、もう一つと追加する。
意識が混濁し、気がついたら朝になる。
奴の囁きを忘れは出来ないが、感情とは切り離せる。
私にはもう、失わないように逃げる以外にできる事はない。
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