第8話 6月15日

19時22分

ご飯が炊け、副菜が出揃いもう少しでメイン料理が出来るタイミングでインターホンが鳴った。

来た!私は文字通り踊りながら彼を出迎える。

そこには疲れ切っているような、緊張しているような。それでいてはにかんでいる。私の好きな顔があった。


心臓の鼓動が痛い。自分を抑え切れずに彼に飛びついてしまった。

彼は驚き戸惑っているようだ。硬直してしまっている。

急に恥ずかしくなってきた私は飛ぶように彼から離れ、家に招き入れた。


今日は2人で過ごし、明日の朝から実家へ向かう。まさか実家に帰る事をここまで嬉しく感じることになるとは家を出た時には思いもやらなかった。


食事をしたら近くの銭湯でも行こうか。そして、どこで住むかなんてのも考えなくては。寝室に行ったら久々にあの時間も来るかもしれない。目の前に彼がいるのに妄想が止まらない!あぁ、幸せはやっぱり頑張った人に降りてくるんだ。


料理を並べながらテーブルに座る彼の顔を見る。疲れから来るのか、少し戸惑った顔をしている。今日は私がうんと癒してあげよう。

そんな事を考えながら2人の時間を私たちは楽しんだ。

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