第6話 6月14日

職場の飲み会から帰り部屋の明かりをつける。

マズい。彼は明日の夕方にここにくると言っていた。

しかし、部屋は有り体に言って、終わっている。今朝は寝坊したし昨日も飲みに行った。

部屋の隅のウイスキーの瓶は2年目社会人女子の部屋にしては不似合いな雰囲気を醸し出している。8本も放置しているからだ。


確かに学生時代は同棲してた。

正直にいうと二人して自堕落な生活だった。

だが、これから新たなスタートを切ると言うのにいきなりこれはどうなのだろうか。

未来が始める前に不安が彩られるような。そんな結婚生活にはしたくない。

仕方ない。明日になるまで1時間もないが、今から片付けよう。すぐに使わない物はクローゼットに押し込もう。

明日は絶対に可愛いと思ってもらいたい。


部屋に描く立体的な世界地図を崩しながら明日の予定を考える。

買い出しをして、彼の好物をつくるんだ。

メイクもしなきゃ。あの家からは日帰り出来ないのでお泊まりの準備もしなければ。2人でホテルにでも泊まろうか。なんなら彼の実家に行ってもいいな。妄想が止まらない。手は止まる。

掃除機は明日にして、もう寝よう。

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