第5話 12月10日
最近、彼とは連絡を取っていないがクリスマスはどうするのだろうか?
不安と期待を抱えながら連絡してみる。
クリスマスも年末も忙しいようだ。
遠距離とはいえ、3月以来一度も会えていない。最近は電話も無く向こうからのメールも少ない。
彼の仕事が忙しいのはわかっている。
外資系大企業の営業で、年末に資格試験も控えている。
土日も返上してゴルフという名の人脈作りをし、平日は7時に家を出て10時に帰る。
そんな彼にわがままなんて言えるだろうか。
ソファから常に手が届く棚にあるジャックダニエルの瓶を手に取り、マグカップに注いだところでメールが来た。
6月の誕生日の週末に彩花のご両親に挨拶に行きたいんだけれど。いいかな?
私の頭は真っ白になり、次第にピンク色の花達が咲き乱れた。
先ほどまでは朽ちた田んぼにアルコールをぶち撒けて潤そうとしていたのに、人間の心とはなんて単純なのだろうか。
約四か月程先の話だが期待に胸が膨らむ。
マグカップの飲み物を一気に飲み干す。
そうだ!彼と会うのは1年ぶりということになる。その時にさらに綺麗になってびっくりさせよう。ダイエットしよう、エステにいこう、なんなら整形してやろうか。
そんな事をメールしているうちに、またスマートフォンが静かになった。
しかし、こんなに嬉しい日は初めてかもしれない。
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