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「どうしてだろう?」

 ホラーは言う。

 なんども、なんども繰り返して練習してきた。だから、こんなのあっという間にできると想像していた。とても簡単なことなんだと思っていた。でも、いざとなるとやっぱりなにもできなかった。私は臆病者なんだろうか? やっぱり、なにもやっても中途半端なままの半端者なのだろうな。……私は。

 そこまで考えてホラーは笑った。

「まあ、いいか」

 そう。いいのだ。どうでもいい。人生はなるようにしかならないのだ。きっとそう。そういうものなんだ。

 ホラーは銀色のカプセルその中に入り込もうと思った。ここは寒い。だから、少しでも寒さを防げないかな? というただそれだけの子供っぽい単純な動機でそうしようと思ったのだ。

「冷たい。優しくない」

 カプセルはとても冷えていた。さっき確認したときよりも随分と冷たく感じた。人生は厳しいなとホラーは思った。

 カプセルの中に入るとホラーは丸まって、瞳を閉じて、そのままじっとして、眠るようにして、動かなくなった。私はここでさなぎになるのだ、とホラーは思った。そう思うとなんとなくだけど笑いたくなった。いや、実際にホラーの顔はにっこりと笑っていた。

「おやすみなさい」ホラーは言う。

 そしてそのまま、本当にホラーは銀色のカプセルの中で眠りについた。寒かったせいかすぐに眠ることができた。それはとても深く、とても安らかな眠りだった。

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