21
なんで人間は死ぬのだろう?
そんなことをホラーは考える。
この世界に絶望するからだろうか? それとも人間が嫌いになるからだろうか? それとも、それが神様の決めた人間の運命だからだろうか?
ホラーは余計なことばかり考えている。
きっと体が疲れているからだと思う。
ホラーの体に溜まった疲労は、ホラーから生きる力を奪おうとしている。
ホラーはぎゅっと自分の体を抱きしめた。
悲しい思いが、ホラーの心の中に溢れ出している。
眠れない。
こんなにも夜は暗いのに、……全然眠れない。
だからホラーは、なぜ私は夜中に、こんなことを考えているのだろう? と考えてみる。
きっと私が力尽きるまで全力で頑張っていないからだろうと思う。
……一生懸命に頑張っている人は、一生懸命に生きている人は、きっとこんなことを考えたりはしないはずだから。
そんなことをホラーは思う。
ひなちゃん。
頭の中で、そう呼びかけても返事はない。
ホラーはひなの姿を見失ってしまったのだ。
もう一度ひなに会いたいとホラーは強く思う。
ホラーは笑っているひなの顔を思い出す。それから人形のようなひなの顔を思い出す。
すると、ホラーの胸はとても強く、とても深く、痛んだりした。泣かないと決めたはずなのに、今すぐにでも泣きそうになる。
私は弱い。
ホラーは思う。
私はずるい。
ホラーは思う。
ホラーは目を開けて闇を見る。
暗く、静かな夜だ。
ホラーの隣には大きなベットの中で、安らかな顔をして、ぐっすりと眠っている影がいる。
ホラーが顔を近づけると、「すぅー、すぅー」と、影のかわいい寝息がちゃんとホラーの耳に聞こえてくる。
ホラーはその音を聞いて影を思う。
それからしばらくして、ホラーは影を起こさないようにそっとベットの中を抜け出した。眠ることを諦めたのだ。
ホラーは足音を立てないように、静かに歩いて部屋を出る。
そしてあてもなく真っ暗な世界の中をぶらぶらと歩いてみた。
明かりはホラーの足元にある紫色に光る水晶の光だけ。
あとは全部が真っ暗な世界。
真夜中のお散歩。
少し歩けば、眠くなるかな?
そんな気軽な気持ちで始めた行動。
でも、どことなく、どきどきする。
ホラーは歩く。
知らない場所。
自分のまだ行ったことのない場所を目指して、ただゆっくりと歩いていく。
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