ただの石ころ「ごっつん」の物語
仲仁へび(旧:離久)
第1話
ただの石ころ「ごっつん」は宝石になりたい。
「ごっつん」は誰かにぶつかって、痛い思いをさせるくらいしかできる事がないので、宝石になりたい。
山の表面にへばりついていて、ときどきぽろっと落ちては、人にごっつんするだめの自分とは、さよならしたい。
だから、宝石になって、多くの人に愛でられたり、プレゼントされたり、喜ばれたりしたい。
けれどただの石では、どうやったって宝石にはなれない。
宝石はたぶん、透き通ってたり、光を反射したりするものだから。
ただの石は透き通っていないし、光を反射したりしないので、宝石にはなれないのだ。
「ごっつん」の夢はどうやっても叶わないものだった。
けれど、ある日石の神様が「ごっつん」に声をかけた。
ただの石でも宝石にしてあげるよと。
「ごっつん」は喜んだが、宝石になるには条件があった。
たくさん人に悪戯すれば、宝石になれるというのだ。
「ごっつん」は悩んだ。
「ごっつん」の力はあんまし強くない。
きっとちょっと痛い思いをするだけ。
たまにたんこぶになったりするだけ。
でも「ごっつん」は誰かに悲しい思いをさせてまで、宝石になりたいとは思わなかった。
好きで山の表面にくっつく石になったわけじゃないけど、それをやめるために人を不幸にするのは間違っている。
だからごっつんは神様の申し出を断った。
すると神様は「君はなんて素晴らしい石なのだろう」と喜び、ご褒美に「ごっつん」を宝石にしてあげる事にした。
「ごっつん」の夢は叶った。
綺麗で透き通っていて、光を反射してキラキラする宝石になった「ごっつん」は、多くの人の手に渡って様々な人に笑顔をもたらしたのだった。
ただの石ころ「ごっつん」の物語 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
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