WAKE 8

「おはよう」


 妻の声で目が覚めた。

 白いレースのカーテンが光っている。今日も朝から快晴のようだ。

 妻は私がもそもそと動き出したのを確認すると、「早くしないと遅刻するよ」と言いながら寝室を出て行った。

 夢を見ていた。

 細かい部分はすっかり忘れてしまったが、長い年月を過ごす夢だったという感覚だけが残っている。

 布団から抜け出しレースのカーテンを左右に引いた。向かいの屋根の上には雲一つない青空がある。

 あの空の向こうには果てのない宇宙がひろがっているんだよな。漆黒の空間に、無数の光の粒がきらめく、冷たい宇宙が。

「早くご飯を食べてよ。ほんとに遅刻しちゃうよ」

 キッチンからの妻の声で現実に引き戻された。

 なぜだろう。

 朝からこんなことを考えてしまうなんて初めてのことだ。

 私は左右に頭を振り両手で頬を二回叩いた。

「二度寝してるんじゃないの」

「起きてるよ」

 私は冷えたスリッパに足を突っ込み、ドアに向かって歩き出した。

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無限の目覚め @fkt11

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