最終話 製作

34. 舞い踊る光

 ――〈細工職人協会〉初級製作クエスト4

【詳細】

素材アイテム「ライトクリスタルの粉」(品質50以上)10包を納品する。

【報酬】

 300セル、細工職人レシピ「ライトクリスタルの粉」

(細工職人レシピ「ライトクリスタルの粉」については条件有り、【備考】3を参照)

【備考】

 1. 細工職人施設内工房を使用する場合、利用料金は細工職人協会が規定内で負担する。

(上限500セル。手続き等についての詳細は、クエストカウンターにて要確認)

 2. 素材は受注時、クエストカウンターにて支給。

(上限有り。クエストカウンターにて、詳細を要確認)

 3. 細工職人レシピ「ライトクリスタルの粉」を習得していない受注者に対しては、レシピを提供する。

 4. 商店等で購入した商品も納品可。但し、購入代金は本人負担とする。



 転職の儀式を終えて真っ先に受注したクエストは、言うまでもなく製作クエストだった。しかも、今回のクエストは受注時にレシピが配布される。まさに一石二鳥である。

 クエストボードでクエスト名をメモし、クエストカウンターへ向かう。応対してくれた受付嬢は草薙ではなかったが、残念ながらそこに一切の憂慮はなく、寧ろ清々しい気分であった。

 ともあれ、花々はクエスト受注時に受け取った二つ折りの紙をその場で開き、紙に記載されたレシピを細工職人スキルの一つ「レシピ習得(細工職人・初級)」で吸収した。すると、レシピの紙に記載された魔法文字は、跡形もなく消えてしまった。

 これで製作スキル「アクセサリー製作(細工職人・初級)」が強化された筈である。

 その後、花々は支給された素材を片手に、以前草薙に案内された協会施設内の工房へと向かった。

「いらっしゃいませ」

 工房の入口には受付の女性が一人座っており、笑顔で挨拶をする。

「あの、初めて利用するんですけど……」

「では、こちらの用紙へご記入下さい」

「はい」

 促されるまま利用申込書に必要事項を記入した後、受付嬢に案内され、漸く細工職人専用の魔法道具――「細工道具」の前に立つ。

(これが「細工道具」……)

 過去に何度か見たことがあるのに、花々は生まれて初めてその魔法道具を目の当たりにしたような新鮮さを覚えた。

 花々の身長の半分程もあるそれは、彼女が今迄触れたことがないサイズの魔法道具だ。更に高レベルの製作スキルや高難易度の製作品ともなると、天井に届く程の大きさもある細工道具を使用することになると言うのだから驚きだ。

 花々が椅子に座ると、受付嬢が操作説明の為に細工道具に触れた。

 すると――。

(あ……)

 細工道具全体が仄かに光を放ち、やがて蛍の様な小さな光がはらはらと舞い始めた。

「綺麗……」

 彼女は思わず溜息を漏らした。

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