第36話 ギャンダムはどこから来たのか?


 ギャンダムはフェミ子のアパートを依代に突然現れたわけだが

 世間はそんなことを信じるわけもなく

 どこからあの巨大ロボが搬入されたか、その足取りを探すこととなる。


 まずアパート跡とその周辺が徹底的に調べられた

 地下通路や格納庫、エレベーターなどが設置されていないか。


 次は、大型トレーラーによる搬入経路の特定作業

 しかし不思議なことに、そんな事が行える幅員のある道路は存在しない。


 あの巨大な重量物を音もなく空中搬送できるかどうかの可能性

 機体のジャンプ力を考慮すれば

 およそ半径5キロ圏内、標高の高い場所からならばそれ以上の距離から飛来して着地した可能性もある。

 虱潰しに探さなければ。


 海から射出されたとしたら?

 射出したのが潜水艦だとしたら?


 あああああああああ、分からない!

 日本政府はなにを隠している?



 もしくは、

 アパート跡に出現したという事自体が欺瞞である可能性。

 どうしても『湧いて出た』という演出にこだわった理由はなんだ?

 これからなにをするつもりなのか。

 あからさまにアメリカ軍を標的にして攻撃しているが、次の目標はどこだ。


 一体誰が何の目的で?

 あれだけの兵器を開発する資金はどこから来たのか。

 在日アメリカ軍を攻撃すれば

 周辺諸国からの脅威に日本もさらされるというのに、なぜそうするのか?



 ──── もしや中国か?


 中国と仮定した場合、とりあえずロボットの数十兆円以上と概算される開発・建造費用の問題はクリアとなる。


 千葉への搬入も、従来の〝大変にぎやかな〟中国製潜水艦では考えられないが

 あのロボを作るような技術があれば。

 というかむしろ、あのロボを世界各地に輸送する専用の潜水艦も同時開発していると考えるのが妥当か。


『湧いて出た』という演出にこだわった理由。

 日本のアニメキャラクターで日本そのものを疑わせてアメリカ軍を攻撃すれば

 比較的容易に中国への疑惑の目を逸らせられる……やらない手はない。


 とすれば次の目標は間違いなく沖縄。

 もっとも中国の戦略上邪魔な存在である沖縄基地。


 一応辻褄はあっている。

 しかし、辻褄が合ってても根本的な部分が馬鹿げていて嫌になる。


 『本当にあんな物を作り出す技術が中国にあるのか?──』と。


 戦闘機エンジンの根幹技術ですら日本やアメリカに未だ及ばない状態の中国が

 どうやってあのようなロボットを開発できるというのだ。


 いや仮に出来たとして、それほどの技術的なリードをあの中国共産党が一切公表せずにいられるか???


 ナンセンス

 ナンセンスすぎるぞ。



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 アメリカとフェミ子の現状。


 アメリカの調査機関は

 SNSでのフェミ子のツブイートはもちろん把握していると思われるが。

 膨大に流れている無価値なデマ・憶測の書き込みの中の一つという扱いであり、特別視していない。

 ギャンダムを『人類が建造したもの』として捉えているアメリカが探しているのは、地に足の付いた情報。ロボットの出処、組織、資金源、製造開発元に繋がる論理的かつ現実的な情報であり。背後関係がまったく無いと簡単に調べがついたメンヘラ女の,(SNSアカウントを利用した偽装工作と思われる)オカルトチックなつぶやきなどではない。

 それらアカウントがハッキングされた痕跡や情報の捜査は行われているが、フェミ子本人に対しては早々に調査対象から除外され、それ以上の経過報告もされていない。



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