社畜、二度目の冥層主を殺る 前編
新沙と共に迷塔ダンジョンへ入ってみると、中は遺跡のようになっており絵に書いたようなダンジョンだった。しかし、違った点と言えば…目の前には道が石の壁によって3つに分かれていたことだ。
「あー最初からこの感じか」
「みたいだねー。うーん、何処から行く?」
新沙の問い掛けに「左からと」答える。古来から迷路は左から進むと言いと言い伝えられているのだ……諸説ありだけど。
兎に角、ここに留まっていても何かが起こる訳でも無いので左の道を歩いていくことにした。
暫く歩くとまたもや道が3つに分かれていたので左を進んで行く。
*****
モンスターに会うことも無く数回程左に進み続けた頃だろうか、急に目の前が開けた。
まさか……マジで迷路を突破出来たのか?
俺はそう思いながら、新沙と顔を見合わせて歩を進めた。
今まで通ってきた道の天井が比較にならない程の、見上げなければ視認することのできないバカ高い天井。そして天井を支える支柱には何やら文字が書いてあった。
とここで、新沙が俺の肩をつついてきた。振り向くと新沙が驚いた表情を見せ、少し興奮していた。
「ゆーくん!ここ層主部屋だよ!しかも誰も辿り着けることの無かった!」
「……マジで?」
どうやら詳しく話を聞くと、俺が知っていた情報とは違うようで……迷塔ダンジョンは層主部屋が一部屋しかないらしく、ルートが確立しておらずダンジョン内が一定時間ごとに変化するらしい。そのため、ダンジョンの外に出るための転移石が絶対に必要なのだそうだ。
……じゃあ辿り着けなかったらどうなるんだよって話なのだが、問い詰めてもなんか病む気配がするのでやめておこう。
「まあいいさ、運良く層主部屋に出れた訳だし……それじゃ、チャチャッと終わらせますかね」
「リハビリってこと忘れちゃダメだからねゆーくん」
支柱に書かれている謎の文字を何処からか出したカメラで撮影しながら俺に声を掛ける。
自分から連れてきておいてこれとは……その心があるなら最初から止めておいて欲しかったんだけど。
「分かってるよ。層主は俺だけがやるってことでいいんだよね?」
「うん。ちょっと危なくなったら援護に入るからね……ゆーくんに限ってそんなことないと思うけど」
随分と信頼が厚いようで……まぁ、流石に負けはしない。層主部屋が一部屋しかないってことは、ここの先にいるのは冥層主……でもやることは変わらない。
ただ殺すだけだ。
俺は奥に聳え立つ鉄扉に歩み寄り、豪快に蹴った。鉄扉がへしゃげ、部屋の奥に飛んでいく。何やら部屋の奥から悲鳴が聞こえたが、気の所為だろう。
俺はアビリティボックスから七割を引き出し、アイテムボックスから短剣を取り出す準備をしておく。ここに来るまで一度でもモンスターが出てきてくれれば見合った短剣を取り出せるのだが……それに蠱毒ダンジョンの冥層攻略報酬の短剣も試してみたいし……
俺はどんな層主なのか、胸を踊らせて部屋に入った。
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えちょまです。
風邪。
それじゃ
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