社畜、代表の力を知る
「……改めてこちらに配属されました。高橋優希です…どうぞよろしくお願い致します」
「うん!よろしくね!大好き!」
椅子に縛られたまま挨拶を交わす上司と部下…ごめん、自分でこうゆう状況にしたのに意味が分からない。
ていうか待って?異例の年齢でジョブが覚醒したってのは聞いたけどまさか攻略部隊長まで上り詰めてるとは思わなくない?
俺が頭を抱えていると、目の前に縄を自力で解いた新沙が立っていた。
彼女は俺を恍惚な目で見つめ…
「ゆーくん…社長室、行こ♡」
「……あい」
そんなホテル行こ♡、みたいに言われても……あぁ、胃が痛い。
「もうヤダ…」
そんな俺の呟きも虚しく、新沙に社長室へ俺は連行されていった。
*****
社長室へ着くと…ドアの向こうから物が壊れるような音と怒声が廊下にまで聞こえるレベルで鳴っていた。
ドアノブを捻ろうとした新沙の手が止まったのを不思議に思い、新沙の顔を覗き込むと……さっきの俺に向けたハイライトの無い目とは違った目…殺意の籠った目をしていた。彼女の周りも、なにか強い力によって空間が歪んでいるのも見て取れる。
彼女はこちらに満面の笑みで振り返り、ちょっとまってて、とだけ言って中に入っていく。
新沙が入って三秒経つと、先程の音が嘘のように無くなっていた。
シーンとなった社長室の中から新沙が俺を呼ぶ。
「ゆーくん入っていいよ」
「はい」
ドアノブを捻り、社長室に入るが…俺の視界に映ったのは衝撃的な光景だった。
一条ギルド代表一条新沙と書かれた表札が置いてある机の上で手を組みながら笑顔で俺を迎える新沙。
……そして割れた壺や置いてあるソファの内容物らしきものを泣きながら片付けている男女二人……
「新沙…どうゆう状況?」
「見ての通りお片付けをさせてるの」
な、なるほど…つまりこの人たちがさっきの音の要因だったと言うことか…
いやだとしてもじゃない?!普通大の大人が泣きながら片付けする事とか普通ある?!
……ひとまず俺の今後の活動についてだ。
俺は今後の配信者活動、仕事の内容、攻略部隊の役割を新沙に聞いた。
「───って言う感じだよ」
「ありがとう、助かるy──」
「──さっきから聞いてりゃ敬語も使わずに代表と話やがってよお!何様だてめぇは!」
新沙に向かって感謝を述べようとすると、片付けに取り組んでいた屈強そうな男が遮ってきた。
「え?あ、え?」
「何キョドってんだよ!代表!どうしてこんな奴にっ……!」
「黙れ、殺すぞ」
新沙がそう言った瞬間、俺の背中に冷や汗が流れた。
濃密な殺気、安易に想像出来る自身の死に様…なるほどね…これが新沙のジョブ、『観測者』による決められた未来……
今のステータスじゃ余裕で死ねるレベルだ……
男は過呼吸になり、一番無関係な女は泡すら吹いている。この状況は流石にマズイ…
落ち着かせないとこの会社に居る社員が全員気を失う…
俺は彼女の傍に駆け寄り、抱きついた。
「落ち着け、新沙。やりすぎだ」
「へ、へあっ!ご、ごご、ご、ごめん!」
俺が抱きつくと殺気は収まり、男達の顔色も良くなっていった。
俺の腕の中にいる新沙は蕩けたような顔をしていたが、部下がいることを思い出したのか俺の腕から抜け出しキリッとした顔を見せ、男に言った。
「いいか
「分かりましたぁ」
「後片付けは私がしといてやる。出ろ」
新沙が命令すると、彼らは速やかに社長室から退出した。
彼女は彼らが出ていったのを確認すると、ため息を吐きながら俺に謝る。
「ごめんねゆーくん…本当は今すぐここで消したいぐらいだったんだけど」
「やめてね」
「うん♡」
「とりあえず…これから頑張るよ」
「期待してるね♡浮気はダメだよ?」
ハイライトの無い目で見つめてくる新沙に俺は苦笑いするしか無かった。
かくして俺は異常な強さを誇る女が隊長を務める攻略部隊へ配属されたのだった。
-------------
えちょまです
観測者のスキルについては後々!
…配信回全く書いてない…やべぇ!
取り敢えずごつ盛りって美味しいよね(*´﹃`*)
それじゃ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます