社畜、伝説になる

 ここに来たのは…大体2年振りか。攻略した後は一回も来なかったからな。

 こいつの強さもどんぐらいか忘れたし…


「実質一回目だな」


 鎧割と不死者特攻の短剣『聖約』を構える。


《見たことない短剣だな》

《表には出てない短剣を何で持ってんだよ》

《いや片方は見たことあるぞ。右手に持ってるのは鎧割ってやつだ。このダンジョン完全攻略時に報酬として与えられるやつだな》

《じゃあ高橋はもうここ攻略してるってこと?!》

《ガチモンの化け物で草》


 必ず人間として認めていないコメントがあるのは何故だろうか……まぁいい、今は久しぶりの層主との戦いだ。集中しよう。


 アビリティボックスから半分程取り出す。

 ここまで取り出すのは久しぶりだ。俺も少し興奮しているのかもしれない。


「じゃ、やろうか。スタートだ」


 俺のスタートの声と同時に武蔵が斬撃を飛ばして来る。それを軽々と避け、武蔵に向かってダッシュする。瞬間移動にも見える速度で武蔵の懐に入り、首を飛ばそうとするが…

 刀で受け止められてしまった。


「ま、そう簡単には行かせてもらえないよな」


 仮にも最深層の層主、ここで簡単にくたばってもらってはこちらが困るというものだ。

 体勢を直すために武蔵から離れようとするが、逃がさまいと俺に着いて来る。


《目で追えなぁい》

《九条ギルドのドローンってfpsかなり高かったよな?》

《そうだったはずなんだけどなぁ》

《もはや層主対層主だな》

《めっちゃ余裕そう》


 実際これぐらいなら余裕、でもこれはまだ序の口…肩慣らしみたいなもんだ。

 本当の戦いはこれから。


「こいよ。ボコボコにしてやる」


 俺の挑発に乗ったのか武蔵が先程よりも速く、鋭い攻撃を放つ。それを短剣であしらい、カウンターを入れる。


 どちらも引けを取らない一進一退の攻防。

 斬る、防ぐ、カウンター、防ぐの繰り返し。


 しかしここで俺は思う所がある。


「このままじゃ泥試合だぁ…」


 いつまで経っても終わりが見えない戦い。

 リスナー達も案外飽きて……


《ホンマにこの配信は一体何なんや》

《化け物と化け物が戦ってるだけや、なんもおかしくない》

《そうだよ。ただ化け物同士が戦っているだけじゃないか》

《あぁ、リスナーの常識が上書きされていく…》


 ……早めに終わらした方がリスナー達にとって良さそうだ。

 おそらく武蔵も今は全力、ならばこちらも全力にならねば無作法と言うもの。


 武蔵のラッシュから逃れ、アイテムボックスから禍々しい気配を放つ短剣を取り出す。


穿牙ウガツキバ』。俺が今持っている中で最も強い短剣。効果は持ち主の力によって威力が左右されると言ったものだ。


 効果は単純だが、それ故に強者が使えば最強の武器になる…それが穿牙だ。


 武蔵も穿牙の異常性を見抜いたのか突っ込んでくる。

 それを迎え撃つように穿牙を構え……武蔵目掛けて斬撃を放つ。


 刹那、武蔵…否、空間に一筋の線が入り、ズレた。


 真っ二つになった武蔵が地面に倒れる。何か戦利品が落ちてないかを確認しに行くと、武蔵から何かが聞こえてきた。近寄ると武蔵がこちらを見つめて俺に言った。


「友よ…楽しかったぞ……」


 武蔵はそう言い残し、光の粒子となって消えた。

 消えゆく粒子を見ながら俺は呟く。


「……誰が友だよ」


 一方コメント欄では


《伝説だわ》

《まぁじでやりやがったよこいつ》

《最強はもうこいつでいいです》

《日本でこいつより強いヤツおらんやろ》

《とりまこいつは伝説認定やな》

《やな》


 伝説認定されていた。


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 えちょまです

 ごめんなさいサボっちゃって

 自分で書いてて内容うっすと思ったのは内緒

 それじゃ









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