社畜、過去を思い出す 前編
少々残酷な表現あります。ご注意を。
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ソファの埃を払い除け、ドサッと体を預ける。
写真には父親の
暫く写真をボーッと眺めていると、カーテンの隙間から漏れた月明かりで、埃がキラキラと光るのが見えた。
「あー、何だっけか今の……チンダル現象だったけ………掃除、するか」
随分前に親から教えてもらった事を思い出しながら、ソファを立ち、俺は掃除に取り組む。
と言っても掃除は簡単で、アイテムボックスを展開しながら家中を歩き回るだけ。
アイテムボックスはゴミを集めて、物の分別までしてくれるのでかなり有能だ。
しかし、俺は記憶の中にある、家族全員で楽しみながら一緒に掃除していたことを思い出す。
家族四人で毎日みんな楽しく生活していた家を、ひとりで掃除するのは寂しく、そして虚しかった。
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数分程、家中を歩き回って集めたゴミを捨てるために、キッチンの奥に置かれているゴミ箱を開く。
俺はゴミ箱の中を見てアイテムボックスから集めたゴミを入れようとした手が止まった。
俺はそれを見て、懐かしみながら呟く。
「懐かしいな、家族写真…」
そこには、俺と妹が一緒に誕生日を祝っている写真や海で泳いでいる写真、他の観光客に頼んで撮ってもらったテーマパークでの思い出の写真が、バラバラに破り捨てられていた。
ゴミ箱から破り捨てられた写真の全てを拾い上げ、ゴミを入れてキッチンから出る。
掃除が終わり、一息吐いた俺は拾い上げたバラバラになった写真を机へ置いていった。
それを見て、俺は呟く。
「どうして俺はこんなことしちまったのかなぁ…大切な思い出の写真なのに…」
今言った通り、これをやったのは俺自身だ。
俺は電気も付けずに、夢の中にいるかのような気分で、何故大切な写真を破り捨てたのか、そして俺が天涯孤独の身になった忘れられないあの日を思い出す──
──俺が風邪を引き、家で留守番していた7年前のあの日、東京23区が欠けた。
原因となったのは、死者数158726人、重軽傷者数31745人、行方不明者数31329人、生存者数0人を記録した過去最悪のダンジョンブレイク事件である『渋谷ダンジョン大災害』だ。
俺が居た所まで届く程の地鳴りと同時に、S級モンスターがダンジョンから放たれた。
地上では獣型モンスターや人型モンスターに蹂躙され、空中からのドラゴンのブレスによって渋谷は瞬く間に火の海と化したのをテレビ中継で見たのを覚えている。
渋谷ダンジョン大災害が起こった一週間後、俺の元に一通の手紙が届いた。
もしかしたら渋谷の隣区に行って、何故か音信不通だった親たちからかもしれないと思いつつ見てみると、それは市内にある病院から
『伝えるべきことがありますので、ご来院ください』
と書かれた手紙だった。
俺は何故と思いながらも、身支度を済ませて病院へ向かった。
病院へ着くや否や、俺は『安置室』と書かれた部屋へ案内され、奥から白い布を被せられた何かが運ばれて、俺の前で止まった。
まさかと思いながら、俺は白い布を取っていった。
そこには───殴られて凹んだ頭と傷だらけの胴体が離れた状態の宗史。
目がくり抜かれ、四肢が全てもがれ、だるま状態になっている彩花里 。
上半身のみしかなく、臓物がはみ出している紗梨の死体があった。
「あ、あ、ああ、あああああああああ!!」
無惨な姿になった家族の死体を見た俺は…その場で絶叫を上げ、気を失った。
当時のことは未だに鮮明に覚えている。
病院のベットに上で目が覚めた俺は起きると素早く家に帰り、布団を深く被りながら泣き喚いていた。鮮明に脳内に残り続ける家族の死体に、俺は吐き続け、泣き続けた。
文字通り三日三晩泣き続けた俺は生きていても楽しくない、死のうと思ったが、家族みんなで決めた言葉を思い出す。
『死のうなんて思うな、生きろ。何がなんでも良いから生きろ、もし死ぬなら老衰で死ね、人の為に死ね、社会に何か貢献してから死ね。』
決めた時は皆で笑い合いながら流していたが、その言葉は俺の中で反芻し、その言葉は俺にとっての重い鎖となった。
その重い鎖を引きづりながら生きていく内に、俺の精神は崩壊を始めていた。
そんな時だった、俺が写真を破り捨てた理由となった彼女が現れたのは
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えちょまです
自分も重い話は結構苦手で、どんな感じで書けばいいのかが分からなかったです
あとPV数20000、週間現代ファンタジー18位になりましたありがとうございます。
それじゃ
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