社畜、突然の出来事に戸惑う

 急いで会社に戻ると、俺が狗柳の次に嫌っている奴が声を掛けてくる。


「おい雑魚、狗柳おじさんが呼んでたぞ。また始末書書くのか?も、し、か、し、て…今度こそクビなんじゃないかぁ?」


 ニタニタと厭らしい笑みを浮かべながら俺を雑魚呼ばわりするこいつは狗柳凌太いぬやなぎりょうた。何かと俺が狗柳に呼ばれたらクビなんじゃないかぁ?と煽ってくる嫌なやつだ。俺の精神が擦り切れた要因の一つでもある。

 苗字に狗柳と付いているこいつは狗柳が可愛がっている甥っ子で、この会社では狗柳と同じ立場に君臨している。こいつに何かすれば狗柳にチクられて終わりなので、誰もこいつに逆らえない。


「あぁ、わかった。もしかしたら始末書じゃなくて本当にクビかもな」


 帰社予定だった時間から数時間も過ぎているのだ、凌太が言った通り、クビになる可能性はあるが、始末書は絶対だろう。


「やっと荷物持ちの雑魚が居なくなるぜ!職にも就けずどっかで野垂れ死んじまうかもなぁ?ギャハハハハハ!」

「はいはい、良かったな。俺が居なくなって」


 未だに精神年齢が小学生並みの凌太を適当にあしらい、社長室へと向かう。一歩一歩が重い、このまま踵を返して家に帰りたいぐらいだ。家なんて数年は帰ってないけど。最早、会社が家みたいなもんだ。


 *****


「始末書、書いてこい」


 社長室に着き、入室するや否や、始末書を投げつけられ、始末書書いてこいの一言。


 これで何枚目だろうか。今月に入って…20枚目ぐらいか?

 しかしこの程度で済むなら良いものだ。クビになんかされたら俺は路頭に迷う羽目になる。

 何故クビにならないのかが不思議だが、クビにはなっていないんだし、良しとしよう。ブラックでも荷物持ちが働ける場所があるだけでもありがたいのだ。


 床に落ちた始末書を拾い上げようとし、床に手を着いて屈むと…着いていた手の甲を狗柳が革靴の踵でグリグリと回す。



「ッ!!社長……この足は一体なんのつもりで?」

「あぁ、悪い悪い。まだ居たのかよ、全然気付かなかったわ。お前アイテムボックスに自分の存在すら仕舞ったんじゃねぇかぁ?ギャハハハハ!……あ?んだよその反抗的な眼は?クビにされてぇのか?この雑魚が」

「……申し訳ございません。以後気を付けます…」


 それに対し、少し苛立ちを覚えたが、正直言って痛みなど感じない。こんな事は入社してから何千回とやられている。たまにツボに入って痛かったこともあるが…


 話は変わるが、狗柳は人が跪きながら自分に謝らせることが大好物の変態野郎なのだ。

 現に狗柳の呼吸は少し荒くなっている。


 一刻もその場から俺は離れたいので、始末書をサッと拾い上げ、社長室から出ようと、ドアノブへ手をかけようとしたその時…目の前のドアが


「は?」

「え?」


 突然の出来事に狗柳は呆気に取られ、俺が戸惑っていると、背後にドローンのようなものを浮かばせている一人のスーツ姿の女性が現れる。

 その女性は俺の後ろにいる狗柳を見据え、口を開く。


「狗柳晴斗、貴方が今こちらの方に行ったパワハラはリアルタイムで配信されています。そしてこれまでに行ってきた数々の悪事も、我々『九条ギルド』が証拠を押さえました。ここまで言えばお分かりでしょう…一緒にご同行願います。」


 淡々と狗柳に向かって一方的に話をする女性。


 それに対し、未だ突然の出来事に呆気に取られ、何も言葉を発しない狗柳。


 そして、この状況に処理が追いつかず戸惑っている俺。


「一体何がどうなってんだよ…」


 今の状況ではこれしか言えなかった。




 -------------

 えちょまです

 なんか拙いすぎる文章になった気がします。というかなってる。

 ざまあ回は明日です。昨日と話が違いますね。すいませんでした。

 スーツ姿の女性は誰なのか?狗柳はこの後どうなるのか?優希はどうなってしまうのか?

 明日に乞うご期待。

 それじゃ

 

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