side 栗宮京香
「ちょっと!今の人酷すぎません?!謝りはしたけどすぐにスタコラサッサーでしたよ!!」
今しがた起こった出来事にそうボヤく。
私の名前は
配信から数時間経ち、深層も攻略し終え、周辺をウロウロしていたら、偶然最深層へ続く階段を見つけたのだが……ダッシュで階段を駆け上がってきた謎の男とぶつかったのだ。
その男は謝りはしたが、すぐにどこかへ行ってしまった。
しかし、ここでひとつの疑問が頭に浮かぶ。
「今の人……なんで最深層から駆け上がってきたの?」
先程起こった 一連の出来事を観ていたリスナーに疑問を投げかける。
リスナーも最深層から駆け上がってきた謎の男に興味津々なようだ。
《神隠ダンジョンってまだ最深層には誰も到達してないはずだゾ》
《それだったら今のは誰だってんだよ?》
《新手のモンスターとかじゃね》
《じゃあ何で京ちゃん襲わなかったんだ?》
《もしかしたら表に出てないだけの無名の超強い探索者かもしれん》
《↑これありそうだな》
新手のモンスターやら無名の超強い探索者やらなんやらと謎の男の正体の候補をリスナーが上げていく。
私自身も尻もちを着いて謎の男の顔は見えなかったが、服装は見ることが出来たため、どんな感じだったか思い出してみる。
服装はダンジョン探索には向かないビジネススーツ、腕には安物らしき時計、両手に持っていた異様な気配を放つ短剣、そして首から掛けられた狗柳ギルドと書かれた社員証…社員証?!
「みんな、思い出したよ!あの人社員証に狗柳ギルドって書いてあった!」
リスナーに謎の男の正体に繋がるかもしれないことを思い出し嬉々と伝えるが、コメントは──
《あー狗柳ギルドかぁ〜》
《あそこ超ブラック言われてるんやろ?》
《あそこはヤバい》
《京ちゃんは知らない感じかぁ〜》
《OK、狗柳ギルドがどんなところか、京ちゃんと分からないおまいらに簡潔に教えてやる。あそこは表向きホワイト会社だが実際は超ブラックのクソ会社だ。》
《ほえーそうなんか、有識者助かるわ》
コメント欄は狗柳ギルドはヤバいや超ブラックで一色。良い点などは書かれておらず、悪い点ばかりだった。
「なるほどなるほど……じゃあ、あんなに急いでいたのにも理由があるのかな?」
最深層から駆け上がってきた事も気になるし、何故あんなにも急いでいたのかも気になる。
どうすべきかと頭を捻っていると、ひとつのコメントが目に入る。
《会社名分かってるんだったら凸れば?》
「それだ!うん、そうしよう!」
何もそれだ!では無い。この行動力は京香の美点であり欠点でもある。
「会社についても色々調べたいから今日の配信はここまで!明日は狗柳ギルドに凸るから楽しみにしててね!バイバイ!」
《お疲れ様〜》
《バイバイ(^_^)/~~》
《乙〜》
《また明日!》
配信が終了した後にもコメント欄は明日の配信について盛り上がりを見せていた。
《行動力よww》
《↑それも京ちゃんのいい所》
《たし蟹》
《明日の配信楽しみになってきた》
《謎の男がどんなやつか待ちきれないぜ》
《わんちゃん狗柳ギルドの悪事晒されるかもな》
《それはそれで楽しみw》
後日、本当に狗柳ギルドの悪事が晒されるなど、この時は誰も思わないだろう。
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えちょまです
掲示板回は今回は書かないことにしました。
今後の京香と優希の絡みに乞うご期待。
次回はざまあになるかもしれません。
誤字やここがおかしいなどなどがあれば教えてください。
それじゃ
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