社畜、配信に映る 後編

 うろ覚えである深層への出口の方向へ向かって走り続けている途中…俺のことを格好の獲物だとでも思ったのか、『神獣類』である『白虎』が岩陰から襲いかかってくる。


「グガアアアアアアアッ!」

「邪魔」


 相手にしていてはキリがないので、白虎の隣を駆け抜ける。


 白虎が俺が自分を通り過ぎたことに気付き、巨大な体躯を動かそうとするが…動かない。自分の体に違和感があることに気づく。

 そう認識した瞬間───白虎の視界に無数の線が現れ、急に線が崩れたかと思うと…その場にはいくつもの肉片が転がっていた。。


 隣を駆け抜ける時に白虎が、そう気付かない速さで短剣を振ったのだ。


「しかし、最深層は敵の湧きが深層と桁違いだな……どうやって俺ここ攻略したんだ?」


 ここに来るまでにかなりの数のモンスター達を捌いてきたが、改めて思うことがある。

 それは、こんな荷物持ちの俺でも最深層を攻略できるのに、何故未だに他ダンジョンの最深層が攻略されていないのかが分からないということだ。

 実力でも隠しているのだろうか?さっさとその隠している力を使って最深層を攻略して欲しいものだ。そうすれば俺の仕事は極僅かに減る。これは俺の切実な願いだ。


 *****


「おっ、あれか?」


 白虎を肉片にしてから数分後、深層へ上がる階段らしきものを見つけた。

 異様な雰囲気の洞窟ないにある階段、明らかに場違いすぎる為、間違い無く深層へ上がる階段で合っているだろう。


「…?何だ何だ?」


 ブー、ブーとスマホのバイブレーションがなる。地上に少しは近づいたので、電波が届くようになったのかもしれない。

 ポケットから取りだし、電源を付けるとそこには……クソ社長狗柳からの鬼電&メッセージがずらーっと表示されていた。

 その中で目に止まったのは、


『お前今何時だと思ってんだ?早く帰ってこい。話すことがある。』


「何時って、まだ8時ぐらいじゃ……嘘だろ?!もうこんな時間?!」


 腕時計を見てみると…針は20時を指していた。


 そりゃあのクソ社長も怒る訳だ。って言うか、俺がここに来たのは数時間前だったはず…何でこんなに時間が経ってるんだよ!

 前の時はちょっとしか経ってなかったのに!


「あー!もう!さっさと地上に帰還して会社に行かないと!」


 手に持ったままの短剣をアイテムボックスに仕舞わずに、深層へ続く階段を駆け上っていく。


 ちなみに最深層へ降りる階段はクソ長いため、駆け上がるのにもかなり時間が掛かるが…そんなことは言ってられない、何としてでも狗柳の機嫌を悪くしないようにしないと!


 *****


 一分間本気で駆け上がり続け、深層へ差し掛かろうとしたその時……目の前に人影が現れ、その人影にぶつかる。


「うおっ?!」

「きゃっ!」


 その人影を見た俺と俺を見た人影が驚きの声を上げる。


 俺は辛うじて体勢を立て直せたが、相手は尻餅を着いた。声からして女性だと分かる。しかし、女性の後ろにあるドローンらしきものから発せられる明かりによる逆光で全体像は分からなかった。


 流石に、尻餅を着いた女性に手を差し伸べるという以外の選択肢は無いので手を強引に引っ張って立たせる。


 急いでいるんだ、多少強引になっても仕方が無いだろう。


「すいません!本当にすいません!自分めっちゃ急いでるんで!本当にすいませんでした!それじゃ!」

「ちょ、ちょっと待ってください!……ま、待てって言ってるじゃないですかぁ〜!!!」


 なにか後ろで喚いていたが、気にする暇はない。早く会社へ帰らなければ、狗柳からの話が待っている。これは俺の人生を左右するもかもしれないのだ。




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 えちょまです

 今日なんか風邪でも引いたのか分かんないけど頭が回らないので???ってなる要素が多いです。ご了承ください。

 それと後からエピソードタイトル変えるかも…

 とりま次回は謎の女性side&掲示板回です。

 誤字やここがおかしいなどの指摘があれば教えてください。

 それじゃ










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