ただいま

目を開けると、そこには見慣れた住宅街が広がっていた。

 石造りのお城の影も形もない。

 本当に帰ってきたんだ。

 ついさっきまで異世界にいたのがまるで嘘のような静けさだが、着ている服装、そして何よりもらったペンダントがあれは現実だったんだと告げている。

 さて、これからどうするか。とりあえず家に帰ろう。

 僕はところどころ新しい家が建っている道を通りながら家にたどり着いた。

 よかった。家はまだある。

 僕が家族がいるかどうかを確認するために窓をのぞこうとしたとき「スバルなの⁉」という声がした。

 この声は。

「お母さん!」

「スバル!スバルなのね⁉」

 お母さんは泣きながら僕に抱き着いてきた。

「急に行方不明になって心配したんだから!」

 そうか、向こうに行った間の時間がこっちでもたっているのか。

「でも・・・無事に帰ってきてくれてよかった」

 その言葉を聞いて、僕も泣きながら抱き着き返した。

「ただいま、お母さん」

「おかえり」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る