第34話 絶望



 いい子になったところで、周りの俺に対する反応が変わらなかった理由がようやく分かった。

 生まれから否定されていて、そこから挽回できるはずがない。

 いや、理由が分かっただけいいじゃないか。


 俺は部屋の中で、一体誰を恨めばいいのかと考えていた。

 他に何も考えられることがないから、それしか頭に浮かんでこないのだ。


 元凶の母も悪い。

 しかし父だって悪い。

 俺自身は何もしていないのに、俺を邪険に扱った。気持ちは分かるが、やりすぎである。


「……俺がいなければいいのか。それなら俺をさっさと捨てれば良かった。その方が幸せだったんじゃないか?」


 母も父も憎い。

 俺をこんな状態にした全てが憎かった。


 俺だって、望まれて生きたい。

 しかし、こんな理不尽な世界じゃ俺は生きていられない。


 部屋で落ち込んでいた俺は、ベッドにうつ伏せになった。

 そして涙を流す。

 この涙で、全ての記憶を流せればどんなに楽か。


 今だけは誰もいないこの場所で、とにかく泣いていたかった。

 押し殺す泣き方に、こんな時でさえ誰かに気遣って迷惑をかけられない自分に、嫌気がさした。


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