第30話 認めない
この人は、一体何を言っているんだ。
俺は呆れて顔を上げる。
「勘当を認めないとは、一体どういうことでしょう?」
認めてくれないと困る。
この家とは関わりたくないし、ポチとの新生活を送りたい。
何の気まぐれかと、俺は思わず顔をしかめる。
それに目ざとく気づかれて、父の眉間にしわが寄る。
分かった、そうか。
俺が言うこと、全て気に入らないのだ。
なんて天邪鬼。
そうやって俺を振り回さないで欲しい。
俺は人形ではなく生きているのだから。
「感動してくれないのなら、それはそれで構いません。ただ、俺はもうここに戻らないだけですから」
最低限これまで育ててもらったから、義理立てしただけだ。
許可を得るのは重要じゃない。
これで話は終わりだ。
俺はさっさと出て行こうとする。
しかし扉の前に人が立ち、阻まれてしまった。
「何のつもりですか? 俺は帰りたいんですけど」
睨みつけるが全く怯まない。俺ごとき怖くないのだ。父の命令は絶対だから。
「ここを通さずにどうする気ですか? 監禁でもします?」
さすがにそれは出来ないだろうと思って言った。まさか、犯罪に手を染める真似をしまい。
「ああ、それはいい」
「は?」
嘘だろう。
父の口から、そんな言葉が出てくるなんて。
あまりにありえなくて、俺は固まってしまった。その隙をつかれ、後ろから別の人間に拘束された。
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