第25話 久しぶりの家



 ポチは先に帰ってもらった。

 家に連れて行きたくなかったからだ。美味しいご飯を作って待っていてほしいと言えば、俺に反抗は出来ずに我慢してくれた。

 帰りにジャーキーを買って行こう。


 別に兄の言うことなんて、聞く義理はなかった。無視しても良かった。

 しかし父が、ポチに危害を加えないとも限らない。

 俺に冷遇する家族が、ポチに何かをしでかさないとは言えないのが怖かった。


 きちんと関係ないと話をして、もう完全に決別しよう。


「……って、なんで放置されてるんだか」


 呼び出されて連れられたのは俺だ。

 それなのに、父はまだ仕事だと客間に放置された。

 お茶すらも出されない。部屋の中には使用人も控えていないので、完全なる放置だった。


 大きな口であくびをしていると、人の気配が近づいてきた。

 そして扉が勢いよく開く。


「こんなところで何をしているんですか?」


 今日は厄日か。

 それよりも、今まで散々俺を放置していたくせに、どうしてこうも近づいてくるのか。


 俺はあくびのせいでたまった涙を見せたくなくて、俯いて弟を出迎えた。


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