　次人から出された、協力するための交換条件は、思っていたよりは無理難題じゃなかった。

　できないことを要求されて、結局協力すらしてもらえないかという不安もあったから拍子抜けしたぐらいだ。

「これからも頻繁に会いに来いよ」

　要求はたったそれだけ。

　裏があるんじゃないかと、何度も確認した。しかし、言葉以外に要求が増えることは無かった。

　俺としては都合がいいが、薄気味悪かった。

　そう考えているのが顔に出てしまったようで、次人はにやりと笑った。

「嫌なら別の要求にしてもいい」

　そっちの方が嫌だ。次がどんな要求か分かったものじゃない。今度こそ、無理難題を出される可能性もある。

「俺が来ても嫌じゃないのなら、遊びに行きますよ。後で文句を言っても知りませんからね」

　わがままな俺が来るのは嫌だろうと考えての忠告だったが、次人は涼しい顔だった。

「これからは可愛い甥っ子と仲を深めたい。遠慮なく遊びに来いよ」

　どの口が言う。

　その表情を歪ませたら、どれだけスカッとするだろう。出来はしないが、想像だけなら自由だ。

　色々な想像をしつつも、俺は相手の気が変わらないうちに契約書を差し出した。

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