第14話 従成の突撃



「どういうおつもりですか?」


 壁ドンをされながら、俺は従成に睨みつけられていた。

 全く心がときめかない状況だ。


 好き勝手するようになったから、そのうち誰かが忠告しに来るとは予想していた。

 予想よりは早かったが、従成ではなく家族ではなかったのに失望する。

 こうなっても、まだ俺と関わりを持とうとしないのか。確執が根深すぎる。


 こうして従成が俺に尋ねているのも、心配してではない。俺のわがままに振り回されたくないからだ。

 その証拠として、目が蔑みの色を持っている。


 わざわざ、ポチがいない時を狙うなんて。姑息な男だ。

 さすがに着の身着のままでは駄目だと、大事な物だけ持ってくるように、家に帰した。

 一緒に行こうと言ってくれたけど、俺に見られたくないものがあるかもしれないから止めた。


 いないとしても、長くて数時間。

 その間は、何をしていようか。そんなことを考えながら部屋でゆっくりしていたところで、従成が突撃してきたのだ。


「どういうつもりとは?」


 分かっていて、俺はとぼけた。

 そうすれば従成の顔が歪む。


「今度は一体、どんな悪巧みを考えているんですか」


 断定的な言い方。

 どれだけ俺を信じていないんだ。ああ、面倒くさい。俺は内心で舌を出した。


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