第13話 ポチと学園生活
「ポチ、次は玉子焼きがいい」
「はい」
「ん、美味しい。ほら、ポチも食べな」
「おいしい」
「作ったのは、シェフだけどね。次は唐揚げがいい」
周囲がざわめくが、俺とポチは気にせず食事を続けた。
ポチは制服を着ていたので、学校は同じだがクラスも学年も違った。まさか年下とは。
驚く俺に、ポチは一緒にいるとついてきた。
いいのかと思ったけど、まあポチがいてくれた方が安心なので、勝手に席を作った。
何を言われようと、俺はわがままなので構わない心意気だ。
ポチは優秀で、授業も理解している。俺も地頭は悪くないから、教師の話を聞かなくても理解出来た。
一緒に教え合いながら勉強をすると、楽しく覚えられていい。
俺達だけの空気はその後も続き、現在は昼食中だった。
他の人に見せつけるために、俺はポチの膝にのった。ぎょっとする誰かの顔が視界の端に見えたが、文句を言われる筋合いはない。誰にも迷惑をかけていないのだから。
膝の上にのったまま、ポチとお互いにご飯を食べさせ合う。
見た目は完全にバカップルだ。面白いから、さらに爆弾を落としてやる。
「ポチは本当にいい子だなあ。おいで、ご褒美をあげる」
俺はそう言って、ポチの頬を手で挟み顔を近づけた。
悲鳴が教室内に響き渡る。
ものすごくいい気分だった。
さすがに唇に触れなかったが、俺の手が上手く障害物になって、キスしたように見えたはずだ。
こうやってかき乱すのが愉快だと思っている俺は、やはり悪役なのかもしれない。
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