第12話 犬とたわむれる
二人でベッドに腰かけると、とりあえず頭を撫でておいた。
毛並みはいいが、前髪が長すぎる。
後でカットしよう。
計画を立てていると、ポチが俺にすり寄ってくる。
短い時間しか関わっていないが、ポチは触れ合うのが好きらしい。
俺も人の体温に飢えていたので、全く苦にならなかった。
むしろ安心する。
「ご主人様が望むなら、俺は全てを消してもいい」
ポチは俺が家でどのような扱いを受けているか、すぐに分かったらしい。
消すというのは、物理的にだろうか。
魅力的な提案だが、さすがにまずい。
「気持ちだけ受け取っておく。いい子にはご褒美な」
ご褒美は大事だ。モチベーション維持にもなる。
俺は、そっとポチの額に唇を落とした。
軽いリップ音を立てたのはサービスだ。
やっていて照れる。
「ありがたき幸せ。ああ、ご主人様は素晴らしい。最高だ」
ポチが満足そうで良かった。
こんなにも喜んでくれるなら、俺もご主人様として精進しよう。
自覚が芽生えてきた俺は、ポチの頭をぐしゃぐしゃと粗めに撫でた。
ポチがいてくれるのならば、もう他はどうでも良くなったので俺は精神的に強くなった。
一応、ポチには家に帰らなくていいのか聞いたが、さも当然みたいにここが家だと答えた。
まあ、本人がそれでいいならいいが。
絶対の存在ができたおかげで、俺は家にいるのも学校に行くのも怖くなくなった。
いわゆる無敵状態に進化した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます