第11話 犬を連れて帰る
特殊な関係だけど、これも悪役の俺にふさわしい。
「おいでポチ。今日から、お前が生活する場所に案内しようか」
「わん」
「面倒だから、四足歩行は止めなさい」
ポチは、まだまだ躾が必要そうだ。前途多難である。
いい子にしたところで、誰も信じてくれない。それなら、いい子でいるのは止めにしよう。
ポチという下僕なんだか、味方なんだかを手に入れた俺は、すがりつくのを止めた。
完全に開き直ったのだ。
ポチを連れ帰った俺は、どうせ興味が無いだろうと、使用人達に何も説明しなかった。
ただ、食事と家具、身の回りの世話をするように頼んだ――いや命令した。
ポチも突き刺さる視線は気にならないようで、俺の後を大人しくついてきた。四足歩行を止めさせるのには苦労させられたが。
説得があんなにも大変だとは。
ポチにはポチなりに、犬のプライドがあるらしい。
待っていた従成も、ポチを見て驚いていたが、わざわざ質問しては来なかった。
俺もどうでも良くなったので、いつもはしていた挨拶をしなかった。
部屋の中にポチと入ると、従成が入ってこないように鍵を閉めた。
まさか入ってこないだろうが、念の為だ。
「ポチの家具が用意できるまでは、とりあえず……」
「俺は床に」
「それは駄目。まあ、一緒のベッドでいいか。無駄に広いし、ペットは同じベッドで寝てもおかしくはない」
「ご主人様が決めた通りにする」
「ポチはいい子だな」
俺の話に、ちゃんと反応してくれるポチが可愛くなってきた。
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