第5話 いい子になりたい



 あれから、またしばらく時間が経った。

 現在十七歳の俺だが、タイミングがいいことに学校が長期休みの時期だった。


 そのおかげで家にいられたのだが、関係を改善しよう作戦は、全くと言っていいほど進展していなかった。

 むしろ、悪化していると言ってもいい。


 わがままを言うのを止めて、大人しくしているはずなのに、態度が軟化する様子が見られない。

 まだ警戒しているとしても、何故急に大人しくなったのか理由を聞いても良さそうなのに、誰も俺に話しかけてこなかった。


 俺と関わりたくないのだ。

 それをひしひしと感じて、胸が痛かった。

 最近は癖のように、痛みをごまかすため服の上からだが爪を食い込ませるようになった。


 味方になってもらいたかった従成は、話しかければ返事をするけど、会話にはならない。

 家族には存在を無視される。


 こんな状況の中で、生活を続けるのは辛い。

 決意が小さくなっていくのを感じる。頑張ろうという気持ちが萎んでいった。


 どうして、俺が。

 そんなことばかり考えるようになる。


 家で自分の地位を確立していくのは、無理かもしれない。

 最近、諦めそうだ。なんとか、気力でもっているという感じである。


 ちょうどそんなタイミングで、学校の休みが終わり、登校の時期となった。

 学校で味方を作ろう。きっと、誰かしらは俺が改心したと信じてくれるはず。

 俺は期待していた。


 しかし、待っていたのは絶望だった。


 誰もが俺を腫れ物扱いし、教師ですらも存在をほとんど無視した。

 期待していた分、落胆が大きく俺の心はポッキリと折れた。




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