第5話 さて、何処の怪奇名所へと行く?(2)

(音声スポット2)


「廿日市から佐伯町へと上がる上根峠は?」と。


 家の女房のお父さんがの供養塔? お地蔵さんがある場所まで、女性のお化けが後部の窓に張り付いてきて、薄ら笑いを浮かべながら、車内を覗き込みつつ。


『そう、そう。その調子……』と。


『それ以上車のスピードを出したらいけん。いけんよ~』、


『事故をしたらいけんし。したら大変じゃけぇ。ゆっくり走らんにゃ、いけんけぇ、ねぇ~』とも、クスクス笑いながら義父へと告げ。


 更に『ゆっくり、ゆっくり』と。


『そうそう、その調子』と、義父の事を急なカーブが無くなる上り坂まで。


 そう、佐伯町に住む人達ならば分かると思うけれど。急なカーブが多い峠でね。最後の上り坂は、上り切る迄、何故か一直線でね。そこ迄の区間に女性のお化けが、義父に慌てて帰宅の途につかず、安全運転をして帰るようにと諫め、忠告をしてくれたらしい。


 だから車の事故を誘う、恐ろしい怨霊の地縛霊──お化けではなく。大変に心優しい女性の幽霊なのだが。


 そのお化けが出た場所で動画を撮りつつ、怪談話をしたらどうか? と、提案と問いかけてきたから。


 僕は「う~ん」だよ。また考える人になりつつ思案を始めだす。


 でも、あそこも交通量が大変に多い所で、僕自身がやはり深夜でなければ畏怖を感じない場所だから。


「上根峠も今の時間は、交通量が多いいじゃぁん」と僕が女房に言葉を返せば。


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