乗猫に挑戦した

@2321umoyukaku_2319

第1話

 姪が乗馬ならぬ乗猫に挑戦した。テレビで競馬か時代劇の『暴れん坊将軍』を見たのがきっかけのようだ。それ以前から自分の父親でお馬さんごっこをやっていたが、父親が毎日やってくれるとは限らないので、同じようにゴロゴロしている猫に乗ろうと企んだらしい。

 その猫は、同じ敷地にある祖父母の家で飼われていた。年を取った猫で、子どもはあまり好きではないようだった。そんな猫に相手にされるわけないよなあ……と思ったら案の定、駄目だった。その猫が寝ているところに姪が乗っかり猫を歩かせようとしても動かない。

 それで諦めるかと思ったら、違った。餌を与えれば何とかなるのでは! と姪は考えたようで、猫のおやつのカリカリを祖父母から貰って猫にあげた。しかし猫はカリカリを食べても動かない。やはり寝ているだけだった。

 それでも姪は諦めず、暇があれば祖父母宅へ行って猫にカリカリを与えた。仲良くなれば乗せてくれると考えたらしい。そんなんで上手くいくのかな……と思っていたら、若干の奇跡が起きた。その老猫が姪に少し懐いたのだ。子供嫌いで姪が来ても寝ているだけだったのが、姪が姿を見せるとすり寄っていくようになったのである。

 姪の執念深さとカリカリが猫を従順に変えた。これなら乗猫ができるかもしれない! と期待してしまうが、この頃になると姪は猫より大きくなっていた。姪が猫を抱え上げ引きずって歩いていたから、もしかしたらそれが乗猫のつもりなのかもしれない。違うようにしか見えないけれど、姪はそれなりに満足したご様子で猫にご褒美のカリカリを与えた。姪に抱き上げられ運ばれている間、猫はびよ~んと伸び物凄くやる気がなさそうそうな雰囲気を醸し出していた。最後に姪からカリカリを貰うと、何処ともなく姿を消した。

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