第3話

さて、冒険者で生計をたてようと決めたが、なまじ前世の記憶があると、多分足りない。


不便な暮らしはしたくないし、改善案は思いつかなくもないが、そのためには技術が必要だ。


そこで、剣術の手習いと並行して、鍛冶師の手伝いを始めることにした。


金属加工技術があれば、何か思いついたら作ればいいのである。


幸いまだ未成年なので、学ぶ時間はある。


前世の知識によれば、生活に必要なものは、電気、ガス、水道であろうが、電気もガスも使い道がない。


火山帯が近ければ、温泉とかもあるのだろうが、残念ながら無いので、基本的に泉か川で水浴びである。


数年がたった。


簡単な鍛冶技術は習得したので、水道の敷設を試みる事にした。と言っても単純なもので、沢からパイプをひいて中に水を通すだけ。沢が物理的に高所にあれば、水は勝手に流れてくる。水量を調節するための蛇口をつければ完成である。水道網を作ろうと思えば、手間もかかろうが、個人的に使おうと思えばこんなものである。


探検と称してあちこち見て回っていると、臭くさい水を発見した自然湧出した油田である。世が世ならこれだけで大金持ちだろうが、利用技術が存在しないので、特に意味がない。


燃やすだけならできるので、風呂釜を作成することにした。缶を作って、2つ穴をあけ、風呂桶と接続、水漏れを防ぐようにして、缶の下で採取した石油を燃やせば、風呂が沸かせる。防水には、油田付近にある天然アスファルトを使用。風呂を沸かすのに必要な油の量をきっちり計っておけば無駄は少ない。


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