第四章 3

   (城内の広間)


侍女  王様、お手紙が届いております。

クローディアス  なに、手紙だと? しかも、ポローニアスから? ううむ、なになに「短い間ではございますが城を不在にしており、失礼いたしました。そろそろ戻りますぞ」と……。何だこれは? また、あのふざけた男のいたずらか? 死者への冒涜ではないか。

ローゼン  失礼いたします。

ギルデン  ハムレット様をお連れいたしました。

クローディアス  うむ、昨夜から何かと城内が落ち着かず、気ぜわしいようだ。

ハムレット  何やら新しい種類の噂が飛び交って、こちらにも流れ弾が飛んできておりますようで。

ローゼン  王様、そのお手紙は……。

ギルデン  もしや、ポローニアス様からでは?

ハムレット  行方不明のはずが、ご機嫌を伺って、しかも「そろそろ戻ります」と伝えてくるのだ。気が利いているなあ。

クローディアス  なぜそれを知っておるのだ。

ローゼン  ええ、つい先ほど。

ギルデン  ハムレット様宛にも同じような内容で。

ハムレット  殺害されて遺体が見つからないはずが、どこかでピンピンしているとは驚きだな。それこそ安手の、毒蝮の周りにいる三太夫殿のお芝居ではないのか。

クローディアス  うむ、ますます事態が読めなくなってきたぞ。もうよい、この件は穏便に、事を荒立てずにな。


   (三人とも、大人しく去ってゆく)


クローディアス  ああは言ったものの、どうやらあの男、何かを企んでいるに違いない。下手人があの男だとしても、人気者だから国内にいるうちは何かと始末をつけにくい。無理に進めれば、かえってこちらの評判が下がるというもの。

 ここはやはり国外に送って、その先でどうにでも処分させる方針に切り替えよう。

 ことを急がなければ、次はこちらが狙われかねないほどだ。まったく何をしでかすかわからない、腹の底の読めない奴だ。


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