第三章 6
(城内の大廊下、クローディアスが一人で祈っている)
クローディアス おお、いったいあの男は、何を知り、何を確信しているのだ、周りの人間はなぜあれを放置するのか。何を証拠として、何を信じれば、あのように血走った目つきで睨みつけることができるのか。
慈悲深い神に、罪を許したまえと祈りたい、だが祈る資格が自分にはあるのだろうか。
何かをしようと願いながら、一方でそれができない、それをしない、それを願えないままでいる自分を持て余す。
昼も夜も、夢の中でさえ泥沼でもがいている始末だ。
時を戻して、罪に落ちるのを未然に防ぎたまえ、そして罪に落ちてしまったのならば許したまえと、せめてどちらか一方は願えないものか。
あらゆる罪びと、全ての願いではないか。
うむ、その方がこの世界の理にかなっている、確固たる真理のように思えてきたぞ。
どちらか一方は認めてくれても、誰も損などしないはず。
いやむしろ、どこかに情け深い、別種の、それ専用の神様がいらっしゃるのでは。
罪をすっかり洗い清めてくれたなら、その時こそこの自分も、その他の大勢の罪びとも、きれいに生まれ変わって、真人間になれるというのに。やり直せるというのに。
罪をこじらせて、罪びとの罪がより深くなったとしたら、それは慈悲深さが足りないせいではないのか。まともな人間ばかりの世の中を創造していただきたいではないか。
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