第28話 トルバチェス帝国へ行くのに回り道をします?
夕食は川魚を使った煮込み料理でしたが、オリージャとは味付けが違っていて、美味しい料理です。
ちょっと辛めの香辛料で味付けがしてあります。
マスターに辛いのを食べるのが大丈夫なのか聞かれたり、辛い味付けなので少ししっとりと汗ばみながら完食しました。
辛いといっても少しだけなのでそんなに辛くはなかったです。
マスターは少し考えながら
「なら市場でこんな唐辛子系の香辛料も買って料理を作っても大丈夫かな?」
と聞いてきました。
「この位の辛さなら大丈夫です。もう少し辛くても食べれるかもしれません。
でもあまり辛いのは無理だと思います。」
と答えます。
正直今までこんな感じの辛い料理というのを食べたことがなかったです。
塩辛いものならありましたが。
食事を終えると部屋に帰り明日からの予定を話し合いました。
机に冒険者ギルドで書き留めたであろう地図を出しています。
「基本イダン共和国は商人の国と言って良いほど商人が幅を利かせていて、街道の利便性に力を入れている
街自体もそこまで大きくなくて2千~1万人の街が多く数が多い。
貴族制じゃなくて共和制だから土地は州として区切って収めているので移動で勢が掛からないから商人が長距離で移動して物を売り買いしてる。
ここまでの説明に質問は?」
確かに地図を見ると街の数がトルバチェス帝国どの国境までの間にも多く書いてあります。
そしてどんなルートを通っても目的地に行けるようになっています。
「こんなに多くの街があっても困りませんか?
多分地図に書いてない村も街道にはありますよね?」
「そこは逆でどんな商隊が移動しても必ず1日で宿屋がある街に着けるようにしてるって感じがあるよね、宿場町って感じで。
お金を落として貰おうとするとこれ以上ない良い環境だし、商団も安心して夜休めるし場所が定期的な場所にあるから予定を立てやすいからね。」
「そういう事なんですね。」
「ただ冒険者としての護衛の仕事が少ないから。魔物や魔獣の定期依頼が殆どで偶に村とかからの討伐依頼があるくらいみたい。」
「となると私達の行動としては、街道を急いでいく感じですか?」
「そんな感じでもいいかなと思ってたんだけど、折角だから珍しい物が揃いやすいイダン共和国の中核都市ラ・ジェルトまで南西に下って途中途中で魔獣なんかを狩りながら街道から少し外れて移動して、
なんか面白いクエストがあったら受けるような感じにしようかなと。」
「そこまで南に行くとちょっと遠回りになりまけどどうしてです?」
「ラ・ジェルトで珍しい食材と調味料を仕入れたいと思って。
サーニャ、今日辛い香辛料の料理もああいう感じの辛さでも大丈夫だったでしょ?
赤色だったから
ここでも少しは買うけど、向こうの街の方が多くの種類がありそうだと思ってるし。
ただ路銀が心もとないから金策も兼ねてるけどね。」
「その言い方だと私がすごく食いしん坊みたいに聞こえますけど…。」
「でも美味しい物は好きでしょ?
人生いつ死ぬか分からないけど、死ぬのか60歳で好きなご飯が食べられるのが15歳からって考えると45年しか好きに食べられないんだよ?
回数で言うと……5万回もないのか?
食べられる回数が決まってるなら美味しい物を食べた方が良くない?」
「うっ…、確かに美味しい物を食べてる方が幸せを感じますけど。」
美味しいご飯の方が幸せを感じるのでそこはわかるのですが、薄い塩味のみのスープに固く酸っぱいパンを浸して食べるのは確かに辛いです。
少しの間だけ食べていたのに私がそう感じるくらいです。
香辛料も料理に入っていると色々な風味を与えてくれるので、塩味一辺倒にならずに良いです。
ただ香辛料の難点は産地に行けば安く買えますが、遠方ですと高いという事ですけど。
「と、サーニャが納得したところでホーアンはここ。」
と簡単に街と街道だけのイダン共和国の地図の一点を指さします。
「川沿い東の街としては一番北になっているんだけど。ここからこういう感じにラ・ジェルトに行く様にしようと思う。」
地図で南西方向に網の目状になった街道と街を指でなぞりながら説明してくれます。
「道中の街道沿いなんかは魔獣や魔物は殆どいないと思うから、街道を少し外れて森の中を進むようにしようと思う。森の中を進むから野営主体になるだろうけど。」
「野営も問題ないですし、森も足場を気を付けないとダメなだけですよね?」
「そう、木の根に戦闘時に足を取られない様にするって事。
そして折角森の奥の方だからハイポーションやハイマナポーションの原料である。
ビャクイカの枝、ジーカンナの枝、クサユリ茸を採集しよう。」
「そう言えばアーツェスト帝国では採集ってポーションの葉とかだけでしたね。
向こうでは手に入らないものだったんですか?」
「そんな事はないんだけど、森の浅いところだと採れる枝の部分は皆発見すると取ってしまうからまず見つからないから、森の奥に行かないと採取できないなら効率を考えて森の深いところまで行っていなかったんだよね。
だけど今回は街道を外れて森の中を突っ切る形で移動するから、その辺の素材も多いく採れそうだなと。」
たしかに森の奥まで今まで入ったことはなかったなと思いました。
折角森の奥に入っていくなら採集を一緒にするのは確かに効率的です。
そんな感じの行動指針を決めると晩は装備品のメンテナンスをかなり念入りにしました。
バックラーとメイスは持たない様にしていましたがミスリルチェインシャツは水が掛かっているので錆びることはないですが、丁寧に拭いて水気を完全に取り油を塗っておきます。
これがまたかなり大変で、ゆうに1鐘分の時間が掛かりました。
やり始めるとなんと言うか、こう小さい円状の輪っかの部分を細かく拭いていったり、油を塗る時も同じような作業をしますが、少し意地になるような感じで拭いてない部分がないか細かく作業をしてしまいました。
ブーツも同じように拭いて、これも油を塗って磨いておきます。
水を吸ったままにすると皮が痛むのでこっちも地味に大切な作業です。
今日は水をブーツに直接かかっていたので雨の日と同じくらいきっちりとしておかないとダメなので、手が抜けません。
いつもより遅い時間になってからベッドに入って寝ました。
翌日朝食に川魚のスープの麦粥を食べて、宿屋の生産を終えて市場に行きました。
朝2の鐘前なので朝食を提供している屋台もありましたが、数店舗は野菜を売っている店と入れ替わっています。
そして屋台ではない店舗も開店させていました。
新鮮な野菜を売っている店と調味料を売っている店を覗いて買い物をしていきます。
調味料の種類という点ではイダン共和国はかなりの種類がある様に思えました。
そうして買い物を終えるとすぐに出発しました。
マスターの先導で進んでいきますが、方向に関してどっちに進んでいるのかいつも通りよく分かってなかったリします。
初めての街だと余計に分からないと思うのですが、マスターは細い路地も時折通ったりして門まで最短で歩いていきます。いつもながら不思議です。
最初は街道を進んでいましたが、途中から森の中に入っていきました。
段々と森が深くなっていくのは今までも経験があります。
少し小腹がすいたなと思ってたら3の鐘を過ぎていたようです。
適当な大きな木の根元に腰掛けてパンにオーク肉のベーコンを挟んだ簡単なサンドを食べて休憩をします。
森の中で道がない所を進んで行くので体力を使っているのか、いつもよりも進んでる距離自体は短い様な気がします。
森の奥なのでもちろん木の切り株がありません。
途中で休憩するのに良い座る場所もないので、歩き詰めの感じになっています。
道がなく木の根で起伏が大きくなる森の奥は歩ていくのに大変だという事をしりました。
一息入れてまた、さらに奥に進んで行きます。
日の光も木々の葉に遮られてだんだんと薄暗い感じになってきました。
時間間隔はわかりませんが、テントを張れるくらいの木が生えていない草地の様な場所にでました。
今日はここで野営をする事になりました。
テントだけ出して設置すると、マスターとハイポーションとハイマナポーションの材料のビャクイカの枝、ジーカンナの枝、クサユリ茸の採集に行きました。
とは言っても1人で行動していると私の場合迷子になるので今日はマスターから実地訓練という事で、どういう所にあるとかそういうのを聞きます。
クサユリ茸は、緑色のユリの花を反対にした形のキノコなので木の根元を探していると見つかります。
日の当たらない場所の木の根元にある事が多いと教えて貰ってそういう場所を見て回ります。
見つかる時は群生しているので5,6個のキノコを残して採集をします。
ビャクイカとジーカンナはかなり分かりにくかったです。
両方とも寄生樹で元々の木の一部から伸びている木で一見見ただけでは木の途中から別の木が生えているとは思えません。
ハイポーションの材料のビャクイカの枝は枝って言われていますが、小さい状態のものは根元から木全てを取ってしまって問題ないそうです。
木の途中からビャクイカの低木が生えているタイプは逆に枝を適度に間引く様に採集をしてき、枝はある程度残しておかないといけないルールになっています。
増えすぎても問題ですが、ある程度はないとポーションの材料が無くなってしまうという理由らしいです。
ジーカンナもビャクイカと同じですが、こちらは枝に小さな棘があるので注意して採集しないと怪我をします。
低木になって育ってしまっているジーカンナは採集部分以外の棘は邪魔ならハサミやナイフで切り取った方が何かの拍子に間違って棘を掴んで怪我をする事がなくなるので安全に採集できると教えてもらいました。
ポーションとマナポーションの葉も森の奥でも問題なく生えているので、こちらも見つける度に採集していきます。
街でハイポーション等の材料を売ると良い収入になるため、買取価格も高いと教えて貰い、
全て自分で材料を用意してハイポーションを錬金するのが一番儲けが良いとも教えて貰いました。
でも通常は自衛の戦闘力を持った錬金術師は殆どいないため採集は冒険者の仕事みたいな部分が大きいそうです。
そうして日が傾いてきたのか森が薄暗くなってきたと感じたので、安全のためにテントまで早めに戻りました。
戻ると私はゆっくりとお風呂に入り、夕飯を食べてから今日教えて貰ったジーカンナとビャクイカ、クサユリ茸の採集する際の注意点などをメモに纏めていきます。
それが終わると装備品を磨いておきます。
テントで休む際は夜警の必要がないので、森の中で過ごすと言ってもあまり緊張感がありません。
襲われたり危険そうな時は先にマスターから準備するように指示があるからです。
マスターの寝る準備も整うとゆっくりと睡眠をとりました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます