第21話 合同護衛任務と初めてのブラッドバッファロー狩り
クエスト出発の日、私は何時もより早く目が覚めました。
起き上がて左右を確認するとマスターやっぱり居ませんでした。
ふつうベッドから下りたりする時は気配がするものだと思うのですが…。
身支度を整えて、食事をしにリビングダイニングに行きました。
マスターが朝食を用意してくれています。
そして一緒に一組のミトンが置いてありました。
「おはようございます。このミトンは何ですか?」
「それ昨日作ってた装備品のミトンだよ。
前に別パーティと一緒に討伐依頼で貰った皮があってね。
それを
長時間付けても蒸れないように中にも工夫をしてるんだ。
かなり良い物なんで使ってて。」
朝食を食べた後で試しにミトンをしてみました。
確かに中がさらさらした感じでしっかり物を持てるけど滑らないようにしてあります。
色もクリーム色ぽい感じなのですが染めたって言っていましたよね。元は何色だったのでしょうか?
ちょっとだけ疑問を感じましたが、街の集合場所まで時間がかかるので急いで準備をして出発します。
集合場所に行くと私達が一番遅く到着しました。
私は護衛の方へ挨拶に、マスターは頼まれていた水樽の収納へと向かいました。
護衛のパーティの方は全員固まっていたので判りやすいです。5人と4人で年齢が違うので2パーティみたいです。
「遅くなりました。「
実は先日盗賊を捕まえたのでパーティランク自体も上がったのです。パーティランクはパーティリーダーの実績が一番反映されます。
年長と思われるパーティの方のリーダーが挨拶を返してくれます。
「俺たちは、5スター「金の水滴」の俺がリーダーバロンだ。こっちは「水面の輝き」3スターだ。
往復12日間の短い間だがよろしく頼む。」
「2スターの癖に一番遅くくるんじゃねーよ。」
「お前らもついこの間3スターになったばかりだろ。大口叩いてんじゃねー。」
頭を拳骨で殴っています。
「こいつらは昔からの付き合いで色々面倒みてるんだが、口だけ生意気になって実力が今一つの所があってな。
今回護衛任務で普段の様子も見たくて誘たんだ。」
そう言ってもう2,3回軽くでしょうが、拳骨を落としています。
「護衛の総リーダーは俺が務める。問題ないな?」
「問題ありません。」
「じゃ護衛のフォーメーションと夜警の順番とかを決めるぞ。」
「バロンの兄貴、こいつ絶対金持ちの道楽かなんかだぜ。装備だって
頭をさすりながら水面の輝きの人間が言います。
「だから馬鹿なんだよ。旅の万全を期したいってザドルノフ商会がわざわざ俺のパーティに指名依頼をだして来たんだぞ。お前らは次いでに俺がねじ込んだんだ。」
そう言ってまた拳骨をしています。
「話がそれたな。フォーメーションだが俺たちが真ん中で、こいつら「水面の輝き」を一番前に置く。「聖銀の輝き」は後方だ。」
「わかりました。」
「そして夜警の順番だが………。そして不測の事態の時には俺の指示に絶対に従ってくれ。また異常を感じたりした時の連絡も頼む。」
と決めていきます。
詳細を決め終わってて、マスターの所へ行くとが商会の人と話していました。
今回商会長ではない人が責任者として商団を率いるみたいです。
マスターに先ほど決めた事を話して情報共有します。
「なんか「水の輝き」の人達には嫌われているぽいです。」
と少しため息をつきながらいいます。
「そういう人たちは一定数いるからな~。まぁ相手にならないから、相手をする必要はないよ。」
「相手にしないと言うのは分かりますけど、相手にならないとは?」
「見てないからはっきり言えないけど、今のサーニャなら全力で戦闘したら相手すぐ死んじゃうぞ。ステータス差が5倍以上あるって結構えぐいから。」
「そういえばマスターが変なことをして、私が変になってるんでしたね。」
「その言い方じゃまるでサーニャが変態みたいになってるぞ。
もし…の話だけど、暗がりで男に集団で暴行されそうになる危険があるから、そいつらに余裕で勝てるように育成しただけだぞ。」
「確かにいざと言う時負けないって言うのは安心ですけど。男性しかいないところだとやっぱり怖い時もありますから。」
「でしょ?。ちなみに思いっきり拳で殴っても皮鎧だったら骨折させられるからね。」
「なんで私、そんな怪力乙女になっているんでしょうか…。」
想像してみて気が遠くなります。
ちょっと現実逃避をしていると出発の号令がでて私達も自分の担当位置である商団後方で進んで行きます。
今回片道5日で隣の隣街まで街道を通って直接行きます。
街によると通行税を取られるので寄らずに済むルートで行きます。
その代わりに森の中も通るので魔物や魔獣と出会いやすいルートです。
1日目、2日目は特に何に遭遇することもなく旅程を終えました。
テントは一番最初みたいな感じになるのかと思っていたら、
いつものロッジテントよりも少し大きいテントをマスターがテキパキ組み立ててその中にいつものテントを置くという事をしていました。
最初見たときは目が点になりましたよ。
各々でテントなどは準備するので他の皆に「テントが大きいな」と言われましたが、マスターが
「女性がいるのに狭いテントだと寝るときに一緒になるでしょ?何日も街によらずに行動するのに。」
と言うと皆「あぁ。」と納得していました。
普通は女性の冒険者でも毎日体を拭いたりお風呂は入れないので、どうしても臭ったりします。
やはりそういうのは気になるので、女性が一緒のパーティだとテントを分けるのが一般的です。例え荷物が増えて大変になったりしても。
そう言ったからか食事も別で取りたいという私の要求は商団の皆に理解されました。
食事も別でとれるので商団の人には悪いですが美味しい料理が食べれるので満足です。段々保存食や硬いパンになっていく食事より美味しい食事の方が仕事もやる気がでます。
仕事さえしっかりこなしていれば五月蠅く言われないのは良いところです。
夜警もちゃんと
時計は4回ひっくり返すと1鐘分になるもので「金の水滴」の持ち物だそうです。
そんな感じで2日間は過ぎていきました。
3日目に野営地を出発して3の鐘の前くらいにマスターが
「あ~、
「伝えた方がいいですよね?」
「頭から釘みたいに角が2本突き出して生えてるから、突進されてるのに気付かないと突き刺さされて死人がでてりするし伝えた方がいいだろうね。」
「距離は進行方向右前400ツリールくらい。サーニャも初めてでしょ。
まだ距離はあるから先に対応とかの話をしておこう。
ブラッドバッファローは大きさはサーニャの頭1個分くらい高くて、大きいな。
文字通り頭の角2本を突き刺そうとして突っ込んでくる。
普通はそれをいなして動きを止めた後は頭の角を振り回してくるから当たらないようにするのと、真後ろに立って後ろ脚で蹴り上げられないようにすること。」
「なるほど分かりました。」
「サーニャの場合は、突っ込んできたやつをかわして、前脚ををメイスで叩いて折って動けなくすればいいよ。2匹に突っ込まれても先に前脚だけ両方折れば大丈夫。
あとはジャッカロープやウルフと変わらないから。」
「そんな感じに言うって事はもしかして今回マスターは参戦しないつもりですか?」
「荷物持ちだからね。今回は参加しないよ。
ちゃんとサーニャが本気で殴れば脚を折って力負けすることはないから。」
マスターから聞いた情報を商団の真ん中にいるバロンさんに伝えます。
「確かか?、だとすると護衛だけで片付けてから商団を前進させないと被害がでるな。」
バロンさんがパーティメンバーを呼んで私が指さした方向へ偵察に向かわせます。
「情報が確かなら助かった。ちょっと待っててくれ。」
そう言って商団自体を停止させてメンバーの帰りを待っています。
メンバーが帰って来て私が言ったことに間違いが無いことを伝えています。
「護衛全員で相手をする必要があるな。全員付いてこい。」
そう言って10人全員で移動します。商団は無防備になりますがマスターがいるので何かあっても大丈夫でしょう。
150ツリール位で一度停止して陣形を確認します。
「そういや嬢ちゃんは…後ろだな。左右を俺達とお前らで止めるぞ。前衛が突っ込んで相手が一番勢いが付く前に突進を止めるぞ。」
バロンさんがそう言うので、
「いえ、あの…私も前で戦うつもりですが…?」
マスターが対応を教えてくれたって事は普通に殴り掛かれって事だと重いっているので、バロンさんに前衛のつもりだと伝えます。
「えぇ…、本気か?」
「いつも通りで問題と聞いてるので大丈夫だと思います。」
「じゃ…じゃぁ嬢ちゃんが左で俺たちが真ん中、お前らが右だ。」
そう言っていますが、自分のパーティメンバーに自分達よりも右寄りにいるように伝えています。
「できるだけ早く倒して嬢ちゃんを助けれるようするぞ。」
そうして出来るだけ身を引くくして近づき100ツリールくらいから前衛がブラッドバッファローに盾を構えて突撃します。
すると気が付いて5匹全部が横一列で突進を始めました。
距離的には50ツリールで相手が向かってきている感じです。位置的に標的になっているのは私が2頭、真ん中に2頭、右に1頭です。
相手をかわしながら前脚を殴るという事を何度も繰り返してバトルソングを歌い始めます。
相手の突進が少しゆっくりになった気がします。
私の右側から突っ込んできたのを左に避けながら両手で思いっきり前脚にメイスをスイングします。するとバキッといい音がして脚が折れたのか片方の角が地面にささって体が反転しています。
もう1頭は私が左に移動した正対していましたがスイングした勢いを使って右側にステップするようにしてもう1回右からメイスを思いっきりスイングして右後ろ脚に当てます。こちらも脚が折れた様で脚3本で止まろうとしているように見えます。
そこに向かって全力で走って右前脚を殴りつけました。
するとバランスを崩してブラッドバッファローが倒れます。
その頭に向かって真上から思いっきりメイスを叩きつけます。
その後すぐ先ほど反転していたブラッドバッファローを見ます。
右脚で刺さった角を抜いて立ち上がろうとしていました。
すかさず近づいて頭を殴りつけます。
右側の角を折る様にして頭を叩き止めを刺します。
自分に向かって来ていた2頭が片付いたので周りを見ます。
バロンさんの所は1頭目に止めを刺すところで、もう1頭をパーティメンバーが盾で角が当たらないようにして時間を稼いでいます。
そっちに加勢に向かい脚を折ります。片側の脚を折ると転ぶので簡単に止めが刺せした。
バロンさんはこちらは問題ないと判断して右側の
多勢に無勢ですぐに決着が付きます。
バロンさんが総リーダーらしく被害確認をしています。
「水面の輝き」の突進を受け止めた人が上手く受け止めれずに打ち身をしていました。それ以外の被害はなさそうです。
私がバロンさんに「あの…ヒーリングをした方がいいですか?」と聞きました。
「あぁ、使えるのか?いやその
使えるなら使って貰えると助かるが、今日また戦闘があっても大丈夫か?」
「問題ないですよ。」
そう言って怪我をした箇所に手を置いてヒーリングを唱えます。
その間にバロンさんが「水面の輝き」を叱っています。
「お前ら対応が甘いだろ、1匹だけだったんだから2人で同時に受ければよかったんだ。今日晩はちょっと教育がいるな。
お前らが馬鹿にしていた嬢ちゃんなんか2匹とっとと片付けて俺たちの手伝いまでしてくれたぞ。
ヒーリングもちゃんとお礼も言っとけ。」
そう言って今度はこっちを向いて
「思ってた以上に戦闘が出来るんだな。いや、侮っていたわけではないんだが。ちょっと戦闘民族かと思ったぞ。」
と少し引き気味に言います。
マスターの教え通りにしていて引かれるのは解せません。
「水面の輝き」全員が横一列で「ありがとうございました。」と言っきました。
なんか態度が全然違う気がします、ヒーリングは熟練度上げですし。
あれ?ちょっとマスターに変に毒されている気がします。
「さてこれをどうするかな。持てる所だけ取っていくか。」
「えっと…多分商団を呼んでくれれば全部運べると思うので、大丈夫…だと思います。」
マスターが嬉々として全部運んでいきそうなんですよね。晩御飯になりそうな気がします。
「水面の輝き」に商団を呼びに行かせて、私達は到着するまで周囲を警戒しながら待っています。
「ちょっと聞きたいんだが、誰かに戦闘訓練を受けたことがあるのか?」
「えっと、ギルドの講習と、前に「暁の狼団」に教えて貰ったことがあります。」
「なるほど、あそこか。なら戦闘技能はしっかりしてて可笑しくはないな。」
なんだか「金の水滴」全員が納得しています。
リコさん達「暁の狼団」は有名なんですね。
そうしている内にマスターがひょこひょこと1人で走ってきます。
こちらに着くと「倒したものを回収に来ました。」と言って全部バックに収納していきます。
「水樽も入れてるのに、ブラッドバッファロー5匹も入るのか。」とバロンさんは感心していました。
結局その日は他の魔物や魔獣に出会う事なく、夕飯にはブラッドバッファローの肉を解体したものが皆に振る舞われ。
私はマスターが作ってくれたブラッドバッファローのステーキを食べて美味しさに感動していました。
1頭分は確保するとマスターが意気込んでいたので、また食べることが出来そうです。
晩は動いて汗をかいていたので、もちろんお風呂に入り、就寝して朝方にマスターと2人で夜警をしました。
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