第20話 お休みが長いのも大変です
次の日は誰に起こされることもなく、本当にゆっくりと目を覚ましました。
時間は分かりませんが2の鐘を過ぎているかもしれません。
身だしなみを整えたら寝室をでます。
机の上に見たこともない器具が色々置いてあります。
「おはようございます。」
「おはよう、ご飯は置いてるから食べるといいよ。」
こっちを見ずにマスターが答えます。
「何をしてるのですか?」
「今はポーションを作ってるところ。」
「ちょっと見てもいいですか?」
「いいけど。あまり面白いものじゃないと思うよ。先にご飯を食べても作業してるから食べてくると良いよ。」
そう言われたので、先にご飯を食べに行きます。
冷めても美味しく食べられるスープや果物で軽めの朝食になっていました。
朝食はすぐ食べ終わったので作業を見に行きました。
ひょこっと顔を覗けて作業を見るとなんか上に水が入った容器のスポイトのようなもので1滴1滴水を落としていました。
「何の作業をしてるのですか?」
「ポーションの葉の成分の抽出をしてるんだよ。
ポタ…ポタ…と非常にゆっくり水が垂れている?のを見ます。
確かに時間がかかりそうです。
「どれ位の時間がかかるのですか?」
「ポーションの葉10枚分で大体6鐘分、半日かかるね~。時間を置きすぎて次の日に作業をすると薬効成分が無くなるから普通の錬金術師は面倒臭がってやらないんだ。ガラスだから器機も高いからね。」
そう言いながら説明をしてくれます。でもマスターは6台で同時に作業をしています。
「かなり時間がかかりますね。でも高品質になるのが分かってるなら皆作ると思うのですが。」
「卸価格で1.5倍くらいだよ?皆効率が悪いって作らないからね
ポーションの葉を磨り潰した物に直接錬金用の純水を入れて
ちなみに粗悪品のポーションは普通のポーションを更に水で割って効果を薄めてるんだよ。1本から3本できるんだ。」
「そうなんですね。」
「そういう訳でこの後当分暇になるから…。」
確かに1滴1滴ずっと見続けていても飽きてくると思います。
「よかったら…サーニャこの前のマッサージを受ける?体のケアと矯正だから。」
前に言ったことを覚えてくれてたようで、いきなり裸になれとか言われませんでした。あれはかなり衝撃的でしたからね。
私は少し考えて…今更なのでして貰るならして貰って良いと言う結論になりました。
「じゃあお願いできますか?」
「それじゃちょっと待ってね。」
そう言って空間からマッサージに使う長椅子を取り出します。
「いつもは宿屋だったからベッドだったけど、こっちのマッサージベッドの方がしやすいんだ。ここで問題ない?」
水滴が落ちる音がするくらいなので、この部屋でも問題ありません。今更ですし。
最初はマスターが薬湯を持ってきてくれて椅子に座って暫く両足を付けておきます。
「そう言えばマスターがしてくれるマッサージって私が知っているマッサージと違いますよね。」
「普通の貴族とかの美容マッサージじゃないからね。」
「どう違っているのですか?」
「僕がしてるのは体の調子を整えるのを最優先にしてるからね。
足裏マッサージ、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師、オイルマッサージのスキルを取ってるから。元々ないスキルだったから交渉したからね。」
また聞いたことがない単語を言っていますが、聞き流しておきます。
時間が経ったので足湯から両足を上げて拭いてもらいます。
そしてマスターが籠を渡してくれたので着ているものを脱いで寝ころびます。
下には布がしいてありますし、簡易ベッドみたいな感じです。
ちゃんと大き目の布を渡してくれて体を隠せるようにしてくれます。
足の裏にオイルを塗ってからマッサージが始まりました。
「体の調子を整えるって何か違うのですか?」
マッサージを受けながら聞いてみます。
「簡単に言うと全身の筋肉の張りを取ったり、体の歪みも治したりもしてるしからね。
「根本的に違うんですね。」
「根本の部分が違うからね~。」
そうしてマッサージに身を委ねているといつの間にか寝ていました。
「サーニャ終わったよ」と肩を軽く揺す振られて目が覚めました。
途中で体の向きを変えたり色々言われた記憶が少しだけありますが殆ど覚えていません。
起きると顔を置けるような
その下には手を置く部分あり、手を置いています。
いつもの様に凄くすっきりした感じを受けますが、少し寝ぼている感じです。
お茶でも飲もうかと言われてマスターは出て行きました。
私はもそもそと服を着て、部屋を移動しちょっと温いハーブティーを飲みました。
そうすると段々と頭が冴えてきましたがまだ少しシャキッとしていません。
「あの…どの位時間が経ちました?」
いつもはそのまま就寝だったので気にしませんでしたが、今日はまだお昼です。
気になって聞いてみました。
「1鐘分ちょっと時間が経ってるよ。4の鐘が近いけどお腹が空いてる?
何か食事を用意しようか?」
「いえ、お腹は減っていないので大丈夫です。」
「まだ眠いなら少し昼寝でもすれば?疲れが溜まってたんじゃない?」
「では言葉に甘えて少し寝てきます。」
そう言って寝室に行きちょっとのつもりで寝ました。
ぐっすり寝ていたようで晩御飯が出来たとマスターが呼びに来て起きました。
今日1日本当に何もせずに寝ていた感じです。
リビングダイニングに移動し、食卓に着きます。
マスターが食事を配膳してくれます。
今日はジャッカロープのワイン煮込みでワインとちょっと大きめの色々な野菜が入っています。それと白パンでした。
お祈りをしてから直ぐに、白パンは最近食べていなかったので食べてみたらふわふわで食べたことのないものでした。美味しいです。
「今日は1日何もせずに寝ていて…すいませんでした。」
と謝ります。
「ん?謝る必要なんてないよ。
だって今日は休みでしょ。何もせずに体を休めるっていう1種の訓練だから。」
休むのも訓練だとは全然思いませんでした。
でもそういうのならマスターは色々していたような?と思い聞きます。
「マスターは色々していましたよね?」
「あれは趣味と実益を兼ねてるからね。料理も半分以上趣味だから気にしなくてもいいよ。
食事は非常に重要だぞ。1日の楽しみが詰まった重要なものだ。
しかも自分好みの味付けのものがないなら、自分で作るしかないからね。」
「いつもマスターに食事を任せていたので今日は手伝った方がいいかなと思っていました。」
「サーニャは美味しく食べてるだけで僕的には満足なんだけど。」
「そういうものですか?」
「僕にとってはそういうものだね。という訳で料理は任せてくれていいよ。」
料理は今後も全部任せていいみたいです。
その日は食事を終えて、ゆっくりとお風呂に入って寝る時間になりました。
1日寝てたので寝れないんじゃないかと思いましたがぐっすりと夜も寝ていました。
休み2日目はいつも通りの1の鐘が過ぎたくらいで目が覚めました。
朝食を食べて今日は街へマスターと一緒に出掛けます。
冒険者ギルドへ行ってクエストを見ることと盗賊を奴隷として売り払ったお金の確認です。
朝の喧噪の時間が過ぎているためギルド内も人が少ないです。
クエストボードを見てると「これが良さそうじゃない?」と言ってマスターがジャンプして依頼書を取ります。別の街への交易にいく商隊の護衛依頼です。
「出発は3日後か、休暇が2日無くなるけどどうする?」
「正直毎日何もしないというのは暇になると思うので、良いと思います。」
「じゃこれを受注しようか。向こうの街に2日ほど滞在するから向こうのギルドでクエストでも受けよう。」
ギルドカウンターでクエストの受注処理をして貰います。
マスターから先方に先に挨拶に行っておこうと言われたので後で行くことにします。
盗賊の売却金も確認しました。頭目は処刑ですが、報奨金がでるみたいで他は奴隷として売り払ったと書いてあります。
受け取りのサインをしてお金を受け取ります半分はバルドー商店に渡しているのですが金貨2枚と銀貨20枚もありました。
臨時収入としてはかなりだと思います。
そうして今度は納品カウンターの方でマスターがバックからポーションを売るために取り出しています。
冒険者は荷物を沢山持つので少しでも軽くしたいという欲求があるので高品質ポーションは常に買取をしてくれています。
高品質ポーションは水滴10滴の量で回復できるため
ギルドだと価格交渉ができなくて店売りよりも安い代わりに貢献度が貰えます。
今回パーティの貢献度を増やす目的で売るのだと教えて貰いました。
高品質ポーションを60本売るのと同時に高品質用ポーション瓶を60本買っています。
ポーションを入れる部分は特別製で割れにくいため何度洗浄して再利用されます。
栓の部分は使い捨てです。
売値はギルドに瓶代を引いて1本4銀貨で金貨4枚と銀貨40枚になります。
マスターはあまり高くないと言っていましたが悪くない儲けじゃないでしょうか…。
ギルドを後にするとザドルノフ商会に行きます。
商会で店員にクエスト受注書を見せて責任者に挨拶したいと言います。
奥から小太りの男の人がでてきました。商会長のようです。
パーティの顔として私が対応をします。
「聖銀の乙女」の2人パーティで受注した旨を伝えました。すると
「聖銀の乙女と言うとバルドー商店の護衛をされた2人組ですか?こちらこそ受注してくれて嬉しいですよ。
…ギルド依頼とは別に水桶を往復で金貨2枚で運んでいただけませんか?」
「水桶の数によります…。」
「1頭立ての馬車5台と護衛が全員で10人くらいになると思います。水桶としては大樽10樽を想定していただければ。一部でも良いのですが。」
商会長は指を折って数えるようして言いました。
「大樽10樽ですか…。」
マスターなら余裕だろうなと思い間ながら、マスターを横目で見ます。
マスターが私の太ももを2回叩きます。前もって決めておいた大丈夫という合図です。
ちょっと考えていたのが金額が少ないと思ったのか。
「量が多いですか?、…持っていただけるなら金貨2枚半、いえ3枚だします。」
金額が安いと感じてると思ったのか、値段を釣り上げてきました。
「わかりました、その金額でお受けします。念のため証文をお願いしていいですか?」
「もちろんです。全部持っていただけるなら安い物です。」
そう言って証文を作ってくれます。ちゃんと商会印も押してくれています。
商会をでると今度は市場へ行って買い物をします。
一様食事は支給されますが、マスターが作ってくれるものが美味しいので別で用意して貰うためです。
序に先に挨拶に行った理由も聞きます。
「なんで受けてすぐに挨拶に行ったのですか?」
「護衛の合計人数の調整を商会が早くできるようにと、さっき言われたように水樽を持ってくれって事を言われるかと思って。」
「確かに言われましたね。バルドー商店の話も知ってるようでしたし。」
「水樽を運ばなくていいって事はそれだけ商品を多く詰めるという事だから、商人も儲けが多くなる。
その仕入れの時間も必要だからすぐに挨拶に行った訳。
あとはバルドー商店の噂がどの辺りまで広がってるかの確認。」
「なるほど。」
「バルドー商店だって仕入れの量が1台分の馬車とはいえ増えたんだ。美味い話は商人の間で物凄い速さで回るから。」
「あの時確かに指を折っていましたけど絶対運べる量を計算して儲けを考えていましたね。」
「そう言う事。往復で運べる量が増えるんだ、そりゃ金貨3枚くらいはだすでしょ。粘ればもう少し上げれたと思うけど、まだランクが低いからあれで問題ないよ。」
そう話ながら私達は色々と買い物をします。今回は食料品の他に糸や布。古着ですが服も買っておきます。
買い物が終わると5の鐘が鳴っていました。
急いで街からでてテントを張っていた場所へ急ぎました。
そうしてマスターがテントを設置してくれます。
そうしてテントで休みました。
休み最終日は暇を持て余したので、装備を持ってポーションの葉とマナポーションの葉を取りに行きました。
半日近くでポーションの葉23枚、マナポーションの葉14枚ほどを採集できました。
その日の夕食はオーク肉の角煮というものを食べました。作るのに時間がかかるので連続して休みがある日しか作れないそうです。
脂身がとろけるようですごく美味しかったです。
明日からまた護衛任務のお仕事です。
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