第13話 訓練・・・訓練・・・
街に戻り冒険者ギルドへ行きます。
常設クエストは依頼書なしで現物納品でランクへの貢献度がたまります。
ギルド職員に納品は解体済みだと伝え、解体室の中に案内してもらいます。
マスターと2人で今日はジャッカロープ20匹、グラスウルフ17匹分を机の上に置き。毛皮は別のテーブルに置きました。
いつ解体したのか不思議です、ずっと一緒だったので解体する暇はなかったと思うのですが。
納品物の査定の間はギルド内で待つ必要があるのでクエストボードを見に行きました。
ジャッカロープやウルフなどの常設クエストは一番上側に張られています。
その下には商隊護衛や小村からの魔物討伐クエストなどが30以上張ってあります。
拘束期間やルートの安全度で報酬が違うのが見比べていると分かります。
じっくりとクエストボードを見るのは初めてなので見ていると
マスターが不意にピョンとジャンプして1つの依頼を取って剥がしました。
「これが結構良さそうなんだよね。」
依頼内容を目の前に出されて見てみると、いくつかの小村を回って品物を売って野菜を仕入れる定期便の護衛で明々後日の水の日から10日間の行程になってます。
報酬も200ラールと銀貨2枚なので日数を考えると安いと思います。
「報酬は安いけど、行先の村々で魔物討伐クエストがあれば一緒に受けたら効率がいいし、村で商売をしている間の自由行動は許されると思うんだよね。」
そう言いながらクエストの紙を持ったまま納品カウンターの方向かいます。
「それに最初の護衛クエストは簡単な方がいい。色々緊張しちゃうからね。」
「そのような物ですか?」
「警戒するべきポイントや気の緩めかた、こういうのは何度か経験しないと分からないからね。常に緊張できる人間なんていないよ。」
「そうなんですね。色々と教えてください。」
マスターに知らないことを聞いたり、教えて貰ってお礼をいうと嬉しそうにします。
査定が終わったのかギルド職員が声をかけてきました。
「綺麗に処理されていましたのでジャッカロープが20匹分で60ラール。ウルフが119ラールになります。受け取りはカードにしますか?」
「現金で。」
「銀貨1枚と小銀貨1枚、銅貨29枚になります。」
と用意してあったお盆を差し出してくるのでマスターが全部受け取ります。
「達成実績はどうされますか?」
「個人の実績にして欲しい。」
「ではこちらにカードを置いてください。」
マスターに自分のカードを置いて魔力を流す様に言われ、カードを台の上に置きます。
「実績を書き込みました、またよろしくお願いします。」
次はクエストカウンターに向かいます。
ここでもマスターが色々手続きなどをしてくれます。
「このクエストを受けたいんだが、立ち寄る村でのクエストがあれば一緒に受けたい。」
「護衛クエストですと依頼主の方の裁量によるので小村での依頼ができるかは、ギルドでは分かりかねます。」
「まぁそうだろうね。ではそこは此方で交渉するから、このクエストの受注処理をお願い。
あと依頼主を訪ねたいので場所を教えて貰えるかな?」
そう言って受注処理をして貰います。
「聖銀の乙女」パーティとして初めての護衛クエストです。
宿へ帰りながらギルドで貰った報酬の話をします。
「マスターから聞いていたよりも多かったと思いますがどうしてですか?」
「えっと…解体処理がきちんとされていたって理由。
普通納品するときには素材部分と討伐部位を納品しなきゃいけないんだけど。
今回はジャッカロープとウルフは食肉と毛皮の素材部分を納品して、さらに討伐部位である鼻も毛皮につけていたんだ。
肉だけだと説明した金額になるんだけど、毛皮はなめすと普段使ってる魔皮紙にできるから、そっちの部分が加算されててジャッカロープが1ラール、ウルフが2ラール。
ウルフからは大きい髪が3枚と小さい紙が4枚くらい、ジャッカロープは小さい紙が4枚くらい取れるんだ。
今回毛皮も1枚物で納品したから高評価だったはず。」
「で、いつ作業をしていたのですか?全く捌いてるところを見てませんが?」
「サーニャが見てないところで作業をしているのだよ。正確には別空間と言った方がいいのかな?」
「う~ん、…よく分からない事を言って煙に巻こうとしてません?」
「いや事実なんだけど、こればっかりはスキルを覚えてないと分からないからなぁ」
「腰のマジックバッグのような感じですか?」
「違うけど、そんな感じ。」
「私も覚えることってできますか?お手伝いにもなると思いますし。」
「残念だけどサーニャの
必要な申請魔法もスキル10にしたいし、魔法もスキル10にしたいものが多いし。」
「…言ってることが理解できないことがわかりました……けれど嘘とかはそういうのではないって事ですね?」
「嘘は言ってないけど、多分見えてる世界が違うんだよね。」
そこから宿に帰るまでマスターはここに透明な窓が浮いてあってとか、こっちにはどこに行けば良いかが案内してあって等等の説明をしてくれました。
真面目に言っている感じから…必死な様子にも見えるので嘘は言ってなさそうです。
そういう意味では誠実に向き合ってくれているようです。
宿に着くとマスターはクエストの依頼主に会ってくると言い残してまた出て行きました。
私は部屋の鍵とお湯の桶を貰い、部屋にもどりました。
1日動いたので汗をかきました、ゆっくり体を拭いてさっぱりとしたいと思っていたので1人は都合がいいです。
ゆっくり体を拭いて着替えを済ませ、ベットに寝転がってるとマスターが帰ってきました。
「交渉は上手くいったよ。飼い葉や水桶を僕が持つことで村滞在時にクエストを受けていいことになった。
これで複数の依頼をこなせるから実入りもいいし実績作りもできるし。一石二鳥よ。」
嬉しそうに言います。
「明日も今日と同じように魔獣狩りの訓練をして、明後日は半日お休みにしよう。
冒険者ギルドで対人訓練が受けられるから午前中はそれに参加しておこうか。
明々後日の水の日から10日間連続で仕事するからね。」
考えていることをつらつらと言っています。
私的には問題がないので了承します。
晩御飯を食べて装備のメンテナンスをして早めに就寝しました。
次の日もジャッカロープとウルフを狩りました。
ただ場所は森の中でジャッカロープとフォレストウルフを相手に戦闘を行いました。
周りに障害物がない草原と違って森の中の木や低木などが邪魔をして倒すのに時間がかかったりしました。
あとポーションの葉とマナポーションの葉を採集しながらの戦闘も経験しました。
マスターは初日と違って何かあったら手助けできる位置にずっといた様でした、数が多い時は倒してくれていましたので。
始めてすぐ位に採集に夢中になりジャッカロープの接近に気付かず角で背中を突かれて怪我をしました。ミスリルシャツのお陰で内出血程度の怪我でしたが、ヒーリングを自分に使う経験をしました。
採集中に襲われると慌ててバトルソングを使えなかったりという事もありました。
昼食を食べてからは午前中の反省点を相談して、どういう対応がベターなのかを教えて貰い、実践してみました。
いざと言う時にバックラーですぐに身を守れるように採集中に置く位置も自分なりに調整して
ポーション草を探しているときも周りの音をよく聞きながら、少しでも音がするなら採集するかしないかの判断も咄嗟に自分で考えなければいけません。
こんなことを考えながらやってるって大変だな~と本当に関していました。
今日は森から帰るので少し遠いですが、突然
「ここまでの採集での不意打ちを食らった時の対応、サーニャの魔法の使用頻度と(実力)余力を考えて。今日からパーティリーダーとしてやって貰おうと思う。
たしかに不安はあるだろう。自分がちゃんとしなかったらパーティが崩壊する可能性があるのがパーティリーダーとしての責任だ。」
いきなりのパーティリーダー任命の宣言と最初に起こりえる最悪の事を言われます。
急に言われたので心の準備なんか全然できていません。
できると、できそうにない時にはきっちり言う今日を受けていたので。
何をしたらいいか分からないこの状でははっきり言っておきます。
何もできない可能性が高いです。
何もできないのにマスターが言ってきたところにヒントがある気がします。
「マスター、私はリーダーになったとしても何もできないと思います。
どういうギルドマスターを演じていればいいのですか?」
知ったかぶりをするより人に聞くのが一番早く教えて貰えるし、どういう意図でこういう事を言っていたのか説明をしてもらえます。
「ギルドとの交渉役をして貰う形かな、あとは依頼主に対して最低限の挨拶をお願いするくらい。
戦闘の指示出しはまた実地で教えていくつもりだから大丈夫。
本来は脅すほどのことでもないんだけど、それだけ責任があるからね~。
言い方は悪いけどお飾りのパーティリーダーになってしまうと思う。
だけどサーニャの求める依頼の成果を得るためには必要な過程だと思ってる。」
「しないという選択肢はなさそうですね。」
「フォローや他の事は手伝っていくから!
聖銀の乙女はサーニャを前面に押し出していくパーティスタイルだから他の人じゃ困るんだよ。」
本日付でパーティリーダー業務もならないとダメなようです。
冒険者ギルドに着くと昨日と同じように解体室の中に納品です。
フォレストウルフ27匹、ジャッカロープ18匹を置いていきます。
昨日と同じように綺麗に解体されたジャッカロープとフォレストウルフです。
ジャッカロープが108ラール、フォレストウルフが189ラールです。
銀貨2枚と銅貨34枚ですね。収支的には赤字になっていないと思います。
マスターはクエストカウンターの方へ行って受付に「依頼人の許可を貰ったので期限内にある小村での全てのクエストの受注手続きがしたい。」
とカウンターの人に紙を渡して頼んでいます。
職員は護衛ルートで寄る村を確認しするクエストボードから巡回する村で受注できる
全てのクエストを持ってきました。
「はぁ、もしクエストが失敗となると違約金が取られますけど大丈夫ですか?」
「量と質ともにこの通りなら問題は起こらない、大丈夫だ。」
そう言って私のギルドカードを出す様に言われます。
「パーティを新しくつくったのですが、名前が「聖銀の乙女」っと…今度が初仕事になるんですね。
依頼が失敗したら違約金があるから……ほ・ん・と・う・に気を付けて下さいね。」
「そこは大丈夫さ。」
「新人を騙して悪い道に刺そうとしてるようにしか見えませんよ。
………完了です。」
「クエストお願いしますね。」
「まかせろ」とマスターはいいながら。
「そういや明日初級対人訓練やってるよね?」
そう言います。
「やってますけど、もしかして貴方が参加ですか?」
なんかジトーっと見られています。
「僕じゃないこっちの方を頼みたい。」
「・・・空きはありますね」
「代金は5ラールですが前払いですか?」
「それでよろしく頼む。」
前金を払って納品カウンターへ行き今日の稼ぎ銀貨2枚と小銀貨1枚銅貨47枚貰を渡されます。
「ほい」っと言って小銀貨1枚と銅貨47枚を渡されました。
「明日訓練が終わったら羽を伸ばすといいよ、ゆっくりと1人の時間は必要だと思ってるから。ただ5の鐘までには帰ってきてくれる方が都合がいいかな」
宿に帰り食事をしながら、少し疑問に思ったことを聞きました。
「ポーションやマナポーションの葉を納品しなかったのは何故ですか?」
「僕が練金でポーションを直接作ることができるから、材料として売るよりも高価に売れるからね。
加工して売った方が得だから売らないだ、あと今ある素材だとエクスポーションが高品質にならないからという理由もある。
お金はあるに越したことはないからね~。」
確かにある方がよいとは思いますが。
マスターはスキルを沢山持っているようです。
食事が終わったら日課の活動をして寝ます。
明日は半日で休みを貰ってます。楽しみです。
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