猫のご飯を食べた

@2321umoyukaku_2319

第1話

 タイトルに『猫のご飯を食べた』と付けたが、私が食べたのではない。友人の兄と弟だ。先程おこぼれを狙う猫の話を書いたが、その逆もあるということで紹介する。

 友人の家では昔から猫を飼っていたそうだが、そんなに猫かわいがりするわけでなく、クールな飼い方をしていたらしい。そんな調子なので猫の餌にも気を配るわけがなく、人の食べ残しを与えていた。しかし、ある日、異変が起きた。家族の一人が猫用の缶詰を買って帰宅したのだ。

 その家族によると、ワゴンセールの缶詰を買ったつもりだったのだが、帰ってから缶の説明をよく見たら猫用で驚いた、とのことだった。

 んじゃまあ、せっかくだから猫にあげよう! ということになったのだが、私の友人の兄と弟が自分らも味見したいと言い出した。ちょっとだけなら害はあるまいと、家族は二人に食べさせた。その猫缶はツナだったかマグロだったかシーチキンだったか詳細は不明だが、そういった感じの名前が付いていて、食べたらそんな感じの味だったそうである。塩っ気が足りないので醤油をかけて食べたら美味だったとの報告だった。人間様の毒見を終えた猫缶を猫に食べさせたら、普通に食べた。大喜びするのかと皆で見守ったら、極めて普通に食べたので、ちょっと拍子抜けしたらしい。もっと高い猫缶なら大興奮なのかな~と皆で予想したが、誰も高価な猫缶を買わないまま現在に至っているようだ。相変わらず人間の食べ残しを与えているけれども、猫は不満を言わないようなので、それでいいんじゃね、という流れらしい。

 猫が不満を言うようなら大ごとだと思うので、そうなったら変更を検討すると友人は語っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

猫のご飯を食べた @2321umoyukaku_2319

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ