第1話
地球で起きた【
その被害に見合うように多くの人々が死傷した。
中には炉の暴走によりブラックホールが発生し、それに飲み込まれた人達も居た。
その中には
信康は黒い穴に飲み込まれたと思い、そのまま訳が分からないまま何も無い空間を漂っていた。
(何処だ? 此処は?)
あたりを見回しながら思う信康。
義理の姉に半ば無理矢理付き合わされて連れて行かれた【インフィニティ】の稼働式。
活動したと思われた炉が突然赤い光を出しながら暴走した。
そして、炉が臨界点を突入した瞬間、黒い穴が生み出された。
何もかも飲み込む黒い穴に信康は抵抗する事が出来ず飲み込まれた。
そして、今に至る。
(このまま、一生この空間の中を漂うのか?)
信康がそう思うのも無理は無かった。
この空間に入り、どれだけの時間が経ったのか分からなかったが、空気はあるのか呼吸は出来たが、不思議な事にどれだけ身体を動かしても疲れるという事は無かった。
信康が黒い穴に吸い込まれ、暫くした時。
突如、来た時と同じように黒い穴が生み出された。
「え、ええええええぇぇぇぇぇぇぇっっっっっっ⁉⁉⁉」
信康がまたその黒い穴に吸い込まれて行った。
ドップラー効果で声が段々と小さくなっていく。
そして、黒い穴に飲み込まれて信康は何処かに投げ出された。
「此処はっ⁉」
投げ出された信康の目に映ったのは、破壊された建物であった。
加えて、かなりの年月が経っている為か、苔に覆われていた。
空もどんよりとしており、陽光が全く差し込む気配が無かった。
信康が
「・・・うわあああっっっっっっ⁉」
暫し滞空していた信康であったが、重力により落下した。
そのまま落下していけば、地面に打ち付けられ確実に死亡すると思われたが。
バシャーン‼
信康が落下した先は溜池であった。
空間から出た先が其処まで高くなかった事と深い溜池のお蔭で死ぬ事は無かった。
池に沈んだ信康は衝撃で身体を強く打ったが、痛みに耐えながら両手で水を掻いた。
そうしなければ、溺死してしまうからだ。
(小さい頃に着衣水泳の授業を受けて良かったっ)
着ている服が水を吸い重くなったが、学校の授業で着衣水泳を学んだお蔭で、水面へと浮かび上がる事が出来た。
「ぷはあああっ、ああ、死ぬかと思ったぁぁぁ」
浮かび上がる事が出来た信康は濡れて纏わりつく髪を退けて周りを見た。
空は厚い薄暗い雲に覆われており、天気が良いとは言えなかった。
池から見える建物は倒壊し苔に覆われていた。
「此処は何処だ?」
浮かび上がりながら、またそう呟く信康。
少なくとも言えるのは、此処は自分が居た世界ではないだろうであった。
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