イヴェンター・ライジーンはアニソンやライヴ現場をかく語りき

第26曲 夏菜つなの〈夏祭〉曲：春奈るな・ワンマン・ライヴ「鏡面の彗星」

　二〇二四年八月二日・金曜日、ＪＲ渋谷駅近接のライヴ・ハウス「代官山ＳＰＡＣＥ　ＯＤＤ」で催されたるなさんのワンマンから早くも一週間が経過した。

　書き手は、端末で、セットリストのプレイ・リストを再生しながら、その日の事を思い起こしていた。

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　二〇一二年の五月二日に「空は高く風は歌う」でメジャー・デビューしたアニソン・シンガー「春奈るな」さんは、デビュー十二周年記念として、ゴールデンウィークの五月五日に催されたワンマン・ライヴの際に、三つの新曲のリリースと、それに伴うワンマンの開催を発表した。その最初が「鏡面の彗星」と題された、八月のライヴである。

　再確認になるが、この三本のライヴは、リリースされる新曲の記念ライヴという体裁なので、事実、ライヴの二日前の七月三十一日にデジタル・リリースされたばかりの「鏡面の彗星」がセットリストの十曲目に置かれたのだが、実は、今回のライヴにおいて書き手が最も興味を惹かれたのは、五曲目から七曲目までのブロックで、その曲構成は、五曲目が「ラムネセカイ」、六曲目が「Ｒｉｐｐｌｅ　Ｅｆｆｅｃｔ」、そしてブロック最後の七曲目が「打ち上げ花火」であった。

　ブロック真ん中の「Ｒｉｐｐｌｅ　Ｅｆｆｅｃｔ」は、同名のＥＰの表題曲で、〈海〉がモチーフになっている。

　そして、ブロック最初の「ラムネセカイ」と、最後の「打ち上げ花火」は、共にシングルのカップリング曲なのだが、そのリリース時期は八月と七月という夏の時期で、作詞・作曲などの制作陣は、全く別の作家さんであるにもかかわらず、共に〈祭〉がモチーフになっている。

　後者の「打ち上げ花火」は、軸となる「夏祭り」というワードに加え、「浴衣」、そして曲のタイトルである「打ち上げ花火」という語によって、この曲の物語の背景が、夏祭りや花火大会である事は明らかであろう。

　そして後者の「ラムネセカイ」は、「打ち上げ花火」同様に、冒頭部の「お祭り」という核となるワードによって〈祭〉という状況が設定され、また、「下駄」という語によって、歌の作中人物が〈浴衣〉で祭に来ている事が示唆され、さらに、「スターマイン」という具体的な花火名によって、この祭でも花火が打ち上げられている事が語られている。

　つまり、〈祭〉〈浴衣〉〈花火〉というモチーフによって、「打ち上げ花火」と「ラムネセカイ」は深く関連付けられているように思われる。

　さらに言うと、「ラムネセカイ」では、「綿飴」「金魚」「りんご飴」といったワードによって、祭の中でも特に、〈露店〉に照明が当たるようになっていて、その露店を巡る時のはしゃぎっぷりや、いつか出会うかもしれない恋の相手に対する〈弾けた〉気持ちが、曲のタイトルにもなっている「ラムネ」によって包まれている。

　つまりこの曲は、歌の主人公の淡い恋心や、初恋未満の弾んだ気持ちが、夏祭りの出店の、淡青のラムネ色や炭酸のシュワシュワによって具象化されているのだ。

　とまれ、「ラムネセカイ」や「打ち上げ花火」のような、明らかに〈夏祭り〉をモチーフとした曲を歌唱するに相応しいのは、「春奈るな」さんが「夏菜つな」という芸名捩りの変名をたびたび使う、夏のこの時期以外にはあり得ないのではなかろうか。

　ちなみに、前方部にいた書き手は、ＭＣの後にこの夏のブロックに入り、「ラムネセカイ」のイントロが流れ出した瞬間に、最前にいた三人が、仕込んであった小道具を取り出したのを肉眼で視認した。

　それは、りんご飴がモチーフになった小さなペンライトで、もちろん、それは「ラムネセカイ」の歌詞内容に合わせた物である。

　個人的には、今回のライヴのハイライトは、「ラムネセカイ」とその〈りんご飴〉のペンライトであった事を、ここで忘れずに指摘しておくとしよう。

〈参考資料〉

〈ライヴ情報〉

　「ＨＡＲＵＮＡ　ＬＵＮＡ　３　ＲＥＬＥＡＳＥ　ＬＩＶＥ　２０２４ー２０２５“鏡面の彗星”」

　　日時：二〇二四年八月二日・金曜日、十八時半開場、十九時開演

　　場所：代官山ＳＰＡＣＥ　ＯＤＤ

　〈セットリスト〉

　　０１　微熱の月

　〈ＭＣ〉

　　０２　ＹｕＲａＹｕＲａ

　　０３　空は高く風は歌う

　　０４　ステラブリーズ

　　〈ＭＣ〉

　〈夏曲・ブロック〉

　　０５　ラムネセカイ

　　　　　作詞・作曲：大橋莉子、編曲：鈴木裕明、『Ｓｔａｒｔｅａｒ』所収、レーベル：、二〇一四年八月二十日発売

　　０６　Ｒｉｐｐｌｅ　Ｅｆｆｅｃｔ

　　　　　作詞・作曲・編曲：ＺＡＱ、『アイヲウタエ』所収、レーベル：、二〇一六年五月二十五日発売

　　０７　打ち上げ花火

　　　　　　作詞・作曲：小川智之、編曲：Ｓｏｒａｏ　Ｍｏｒｉ、『アイヲウタエ』所収、レーベル、二〇一三年七月二十四日

　　０８　ＳＵ・ＫＩ・ＤＡ・ＹＯ

　　０９　魔法の城、真実の書物。

　　１０　鏡面の彗星

　　１１　Ｆｌｕｔｔｅｒ

　　１２　ＲＥＡＳＯＮ

　　〈ＭＣ〉

　　１３　アイヲウタエ

　　１４　Ｃｌｕｍｓｙｄａｙｓ

　　１５　君色シグナル

　　〈アンコール〉

　　１６　Ｏｖｅｒｆｌｙ

　　〈ＭＣ〉

　　１７　君がくれた世界

〈ＷＥＢ〉

　『「ＯＳＨＩ　ＴＯ　ＤＡＴＥ　ｐｒｅｓｅｎｔｓ　ＨＡＲＵＮＡ　ＬＵＮＡ　３　ＲＥＬＥＡＳＥ　ＬＩＶＥ　２０２４ー２０２５　“鏡面の彗星”」ＳＥＴ　ＬＩＳＴ公開！」（二〇二四年八月五日付）、『春奈るなＯＦＦＩＣＩＡＬ　ＳＩＴＥ』、二〇二四年八月六日閲覧。