第27曲 漢字二文字のユカリコ三部作:綾野ましろファンミーティング
書き手の〈最推〉である綾野ましろさんのFCイヴェントの開催から、瞬く間に二十日も過ぎ去ってしまった。
さる八月三日の土曜日、昼と夜の二回構成で、復帰後初のファンクラブ・イヴェントが、東京都新宿区の四谷にて催され、各回で列こそ異なったものの、座席指定で着座という状況下、ほぼ列の真ん中から、書き手は参加する事ができたのであった。
今回のイヴェントは、各回共に、ライヴと特典会の構成で、前半のライヴは、伴奏がアコギだけのリサイタル・スタイルで、後半の特典会は、演者とのツーショット・チェキ会であった。
つまり、今回のライヴはアコースティック・ライヴで、復帰前のライヴのほとんどがバンド形式であった事を考えると、非常に珍しいスタイルだと言えよう。
そのセットリストは以下の通りである(夜公演入替曲)。
一 pixy breath
二 ハーフムーンフラワー(Unleash)
三 幻燈
四 Day’s eye
五 愛のかくれんぼ
六 燐光(邂逅)
七 ideal white(vanilla sky)
昼夜ともに、アンコール無しの七曲構成で、曲の展開も殆ど同じだったのだが、二曲目、そして、六曲目と七曲目が、昼と夜とで交換になったので、歌唱されたのは実数で十曲となる。
今回のセトリの中で特に着目したいのが、一部と二部の三曲目で歌われた「幻燈」と、昼の部の六曲目で歌われた「燐光」、そして、夜の部でその曲と交換になった「邂逅」である。
これらの曲の制作陣は以下の通りだ。
「燐光」(ファーストシングル『ideal white』カップリング)
作詞:Mashiro・yukarico、作曲:Fumio Yasuda、編曲:Shun Mizuki
「幻燈」(セカンドシングル『vanilla sky』カップリング)
作詞:Mashiro・fumio yasuda、作曲:yukarico、編曲:Fumiaki Unehara・yukarico
「邂逅」(サードシングル『infinity beyond』カップリング)
作詞:Mashiro・yukarico、作曲:Fumio Yasuda、編曲:Yuichi Murata
このように並べ比べてみる事によって分かるのは、これらの漢字二文字が曲題になっている三曲の中に、「Mashiro」「fumio yasuda」「yukarico」という三者の作家の名が認められる事だ。
「Mashiro」とは、もちろん、歌い手である綾野ましろさんが作詞の時に使っている名で、そして、イニシャルが大文字の場合と小文字の場合があるものの、「fumio yasuda(Fumio Yasuda)」とは、ましろさんの産みの親である安田史生さんで、以前、この随筆の中でも取り上げた事がある人物だ。
そして、「yukarico」さんと言えば、作詞、あるいは作曲、ないしは編曲といった何らかの形で、活動休止前のましろさんの楽曲のうち〈八〉曲に携わっていた作家さんである。
初期の三枚のシングルの表題曲は、今でも、ライヴをぶち上げる時や、ライヴのラストで歌われる事が多い激しい曲で、これらに対して、曲名が漢字二文字の三曲は全て、それらの初期のシングルのカップリング曲で、あたかも、動に対する静であるかのような、ゆったりとしたスロー・バラードになっているのが特徴だ。
それゆえに、シングルの裏面として連続して発表されたこれらのスロー・バラードは、ヲタクたちの間では、〈漢字三部作〉とか、あるいは、ましろさんと安田さんに加えて「yukarico」さんが制作に携わっているため、〈ユカリコ三部作〉などと呼ばれており、ファンミがアコースティック・ライヴである事が発表された際に、これらの曲を望む声があった。
実は、この随筆の中でも取り上げた、二〇二四年の五月から六月にかけて催されたましろさんのサイン会、その東京の二部におけるトーク・コーナーで、ましろさんが、唐突にアコースティック・ライヴで聴きたい曲のアンケートを始めた事があった。この時、一人一人が、聴きたい曲や好きな曲を答えていったのだが、その中で、「燐光」「幻燈」「邂逅」という、これらの、初期のスロー・バラードを、この曲順で聴きたい、という意見が出たのだ。そして、この時、それに同意する声も上がり、実は、書き手も同意見であった。
そもそも、シングルのカップリングというものは、ライヴにおいて歌われる事は稀で、さらに、初期の曲というものは、時が経つにつれ、徐々に歌われなくなってゆく傾向がある。それゆえに、初期のカップリング曲である〈ユカリコ三部作〉もまた、なかなか聴ける機会がなかったのである。
とはいえども、ライヴのバラード・ブロックにおいて、三曲のうちの何れかが歌われる事も確かにあったのだが、三曲全てが、しかも、リリース順に歌唱されたのは書き手が知る限りにおいて一度だけであった。
たしかに、必ずしもましろさんのヲタクだけではない、ライトなアニソン好きも参加している普通のライヴにおいては、アニソン・タイアップが多くなり、結果的に、上記のような傾向がでるのは致し方ない事であろう。
だからこそ、ましろガチ勢しかいないファンミの、しかも、アコステ・ライヴにおいては、レアなユカリコ三部作が聴けるかもしれない、という期待感がヲタクの間に流れたのである。
そして先に見たセトリにあるように、昼夜を跨ぐ形になったものの、その願いは半分だけ叶ったのであった。
これで、順番通りの三曲連続であったのならば、言う事はなかったのだが。
実は、初期バラード曲を三曲連続で歌わなかった理由に関しては、ファンミのMCの中で、ましろさん自身が、こう説明していた。
「だって、ゆっくりな曲を続けたら、着座だし、みんな眠くなっちゃうでしょ?」
それはそうかもしれないけれど、あの三曲は連作性があるので、だからこそ、順番通り三曲連続で聴きたいんだよ、そう思った書き手は、忘れずに、二部のチェキ会の時に、自分の意見をましろさんに伝える事を忘れはしなかったのだった。
〈参考資料〉
〈ライヴ情報〉
「綾野ましろファンミーティング Vol.1『Neo-Mashirontierへようこそ!』」
日時:二〇二四年八月三日・土曜日、一部:十四時半開演、二部:十八時半開演
場所:ライブハウス 四谷LOTUS
〈WEB〉
『綾野ましろオフィシャルサイト』(詳細は会員限定)、二〇二四年八月十七日閲覧。
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