第15曲 あさをむかえる:綾野ましろのNP亜沙さん

 綾野ましろさんは、二〇二一年末に、それまで所属していた事務所とレコード会社を離れ、その後、事実上の活動休止状態に入ってしまった。

 だがしかし、約二年もの間の沈黙の後に遂に、二〇二四年の初めに活動再開を発表した。

 ましろさんは、それを、再起動を意味する〈リブート〉という単語を用いて表現したのだが、とまれ、三月初めのニューEPのリリースと、四月の札幌と原宿でのワンマン・ライヴによって、本格的にリブートを果たしたのである。


 このリブートにおいて、ましろさんは、かつての事務所に出戻ったのではなく、新たな事務所と、新たなプロデューサーの下で活動を再開した。


 そのNPこそが、ニューEPに含まれている四曲のうち、安田さんが携わった「Line of Fate」以外の全てを作曲した〈亜沙(あさ)〉さんである。


 亜沙さんと言えば、二〇一二年に『ニコ動』に投稿した「吉原ラメント」で知られており、この曲は、小林幸子さんをはじめ、数多の歌い手によってカヴァーされたり、この曲をモチーフにした小説さえ存在している程の有名曲である。


 その亜沙さんとましろさんとの関係は、感染症の前に、ましろさんのライヴのサポート・バンドにおいてギターを担当していた〈広末慧(ひろすえ・けい)〉さんに負うところが大きいそうだ。

 慧さんは、二〇一二年の「吉原ラメント」にギターで参加し、さらに、亜沙さんの「亜沙バンド」においてもリード・ギターを担当しているのだ。


 そしてさらに、亜沙さんは、かの「和楽器バンド」のベーシストでもある。

 ちなみに、亜沙さんのファンクラブの名称は「遊郭」で、そのオフィシャル・ホームページは、実に和テイストで満ち満ちている。


 さて、おそらく、和楽器バンド関連のコネクションだと思うのだが、ましろさんは、和楽器バンドのヴォーカルである〈鈴華ゆう子〉さんがパーソナリティーを務めているラジオ番組、「鈴華ゆう子のJapanese Treasures」にゲストとして出演した。

 この番組は、『LuckyFM茨城放送』にて毎週金曜日の十九時から十九時半まで放送されているのだが、まさに放送されていた金曜日の十九時台、書き手は、飛行機で北海道に移動中だったため、残念ながらリアタイはできず、後日、『radiko』にて番組を聴取する事になったのであった。


 さて、鈴華さんの番組、通称、「ジャパトレ」は、〈和〉をテーマに、番組を通して、改めて日本文化について考えてゆく事をコンセプトにしているそうだ。

 鈴華さんのホームぺージによると、このラジオ番組では、「日本の伝統文化や風習などについて専門家を招いて紹介するコーナー」などもあるそうなのだが、五月三十一日の放送回は、日本文化の紹介はいったん括弧に入れられ、ゲストたるましろさんとのトークが為されたのであった。


 この回には、なんと、和楽器バンドのメンバーにして、綾野ましろさんの今のプロデューサーである亜沙さんが飛び入りで参加する、というサプライズもあった。


 実は、四月のましろさんのライヴを亜沙さんも観に来てくださっていたそうなのだが、このラジオ番組において、ましろさんのライヴに対する亜沙さんの印象が語られた。


 亜沙さんは、ライヴでの観客の盛り上がりを直に目の当たりして、そのあまりもの激しさに驚きを禁じ得なかったらしい。

 だが、しかしである。

 実は、感染症前のレヴェルには未だ未だ及んでいない事が、当のましろさんの口から話されもした。


 その事に亜沙さんは、さらなる驚きを覚えたようであった。


 この遣り取りを聴いて、今後のましろさんのライヴをもっともっと激しく盛り上げてゆきたい、そう書き手は固く誓ったのであった。 

 

〈参考資料〉

〈WEB〉二〇二四年六月十二日閲覧。

 『ASA OFFICIAL SITE』

 「鈴華ゆう子のJapanese Treasures」、「PICK UP」、『鈴華ゆう子 Official Website』

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