第14曲 安田の〈安〉は安心に通ず:綾野ましろ、ニューEP『FLAVOR.』発売記念、トーク&サイン会
五月中旬から四週に渡って行われてきた、綾野ましろさんのニューEP発売記念の〈トーク&サイン会〉も、彼女の出身地である北海道をもってして遂に終わりを迎えてしまった。
その札幌のサイン会の開催日当日に、短文式のSNS、『X』(旧ツイッター)において、札幌のトーク・ショウでは、ましろさんと縁のある札幌の方が飛び入り参加する事が告げられた。
この告知があった時点で、ましろさんのヲタクのほとんど全ては、誰がやって来るのか予測というか、もはや確信していたのだが、やはり、第一部の会場に現れたのは、予想に反する事無く、綾野ましろの産みの親にして育ての親、そして、恩人にして師匠である〈安田史生(やすだ・ふみお)〉さんであった。
この〈アニソン・エッセイ〉を読んでくださっている方の中には、覚えてくれている方もいらっしゃると思うのだが、一つ前の論考であある「第13曲」において、ましろさんの事を題材にした際に、新曲「Line of Fate」の作曲と編曲、さらに、作詞をましろさんと共作で担当したのが、安田さんであった事を書き手は言及した。
サイン会前のトークでは、かつてのプロデューサーである安田さんは、ましろさんによって、〈恩人〉として紹介されていたのだが、実は、書き手は、アニソン・エッセイの中で、〈オン(温)故知新〉や〈オン(音)〉で繋がった関係性、そして〈オン(恩)人〉といったタームを使って、安田さんの事を語ったので、トークを聞きながら、あたかも、自分の精神が未来を行き来して、札幌でのトークの模様をルポしたような錯覚を覚えさえしたのであった。
また、トークでは、「Line of Fate」とは、たしかに、手相の「運命線」の事を指すのだが、それと同時に、デビュー曲である「ideal white」が『Fate』のOPで、そこから綾野ましろというアーティストが出発した意味も込めた事が語られた。
実は、この『Fate』と「Line of Fate」の関連を、書き手は前回の論考で推測したので、この事実が、新曲の制作者である安田さん自身の口から語られた際には、非常に驚かされたのであった。
ちなみに、これまで半時間程度であったトークの時間が、札幌の第一部では二倍の一時間であった事を忘れずに指摘しておこう。
このように、時間を忘れて話し込んでしまった事は、ましろさんが〈安〉田さんの存在に〈安〉心感を抱いた事の証左なのではなかろうか。
〈参加イベント〉全一部・二部構成
二〇二四年五月十一日(土)、東京・代々木
二〇二四年五月十八日(土)、大阪・新大阪
二〇二四年五月二十五日(土)、神奈川・横浜
二〇二四年六月一日(土)、北海道・札幌
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