内見×誕生日＝？？

パパは不動産屋さん

　今日は不動産屋さんのパパと内見するの。パパは張り切っているけど、本当に私の欲しいおうちを探してくれるかしら？

「なあ、このおうちがいいんじゃないか？」

　大理石調の床材にギリシャの神殿みたいな柱。窓の外には百万ドルの夜景。お城みたいでとっても素敵だけど。

「ダメよ、パパ。この子には大きすぎるもの」

「そうか、じゃあ次だ」

「なあ、このおうちなんかどうだ？」

　三階建てのスライダー付きのおうち。いっぱい遊べてピンクが基調のかわいい開放的なおうちだけど。

「ダメよ、パパ。この子には大きいしとっても高いからママに怒られちゃう」

「やっぱりそうか。じゃあ次だ」

「なあ、このおうちなんかどうだ？」

　人気のアイスクリームのお店。いつでも大好きなアイスクリームが食べられるのはいいけれど。

「ダメよ、パパ。この子は人間のお姉さんじゃないんだもの」

「そうか、じゃあ次だ」

「なあ、このおうちなんかどうだ？」

　苺色の屋根に木目調ワンルーム。小さなお友達とベッドも付いていてとっても可愛い。あら？ちょうど持ってるおうちを上に乗せられるわ！夢だった三階建てに出来るわね！

「決めたわパパ。この部屋にする」

「それじゃあ誕生日プレゼントはこのおうちにしよう」

　ここは郊外の大型玩具店。所々泣き声も聞こえるけれどハッピーでラッキー、ワクワクするお店。パパと一緒に気に入ったおうちを持ってレジに行くと笑顔のお姉さんが誕生日のラッピングはいかがでしょうか？ってキラキラした包み紙を出してくれたから一も二もなくはいって大きな声で言っちゃった。

　でもパパったら不動産屋のお仕事で今日は内見一件か二件で契約が決まったぞ！なんてしょっちゅう自慢するのに私が普段なんのお人形で遊んでいるかも知らなかったんだから、敏腕営業マンの名がすたるってやつよね！

「いやいや、待ってくれみみちゃん。内見が一件か二件で終わるのはよっぽどお客さんが欲しい家が決まってる時くらいなんだ。見るだけ見て決まらない事もざらさ」

「ふうん。じゃあ四件目で決められたんならやっぱりパパは優秀なのね！」

「そうともさ」