第7話




あれだけは見たくて


仕方なく

黒と黄色のカーペットを踏んだ。



あるいて、あるいて、

ピンク色の世界へ行った。



キャサリン・チェイス・プラットが

優しく迎え入れてくれたから好きになれた。




舞妓が見えるそこに、また椅子があったので座った。なんていい美術館なんだろう、涙は出なかった。



私の見るべき画の目の前に、

いつだって小さな椅子はあったのだった。



白い世界。

水色の時よりは人は少なかった。


左から、右へ。

決して右から左へは流れてこないのが不自然で、あ、1人、背の高いグレーの男性がいま、左へ進んでいった。



もう1人、

白いニットを着たメガネの女性らしきひと。

ああ、またすぐに戻ってきた。



男性だろうが女性だろうがいい。

本当にどうだっていい。

その人の自認するものでいい。

その人の着たい服を着た時、自分をどう捉えるのかは自分にしか分からないから。


外側の私たちに、それを知る術はないのだから。




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