第六十四話 ノゾミ&ユーリvsロウジュ
ノゾミ&ユーリvsロウジュ。
ロウジュは黒鎧の戦士を生成してはノゾミとユーリに差し向ける。ノゾミは刀で、ユーリは弓矢で戦士を撃退していく。
「なんだなんだ! 雑魚鎧を召喚するだけのスキルか! 斬るに足らないなぁ!」
ノゾミが振るうは魔導書、
(幻魔刀牢は刀身で触れた魔法、あるいは魔力を吸収し、刃に収める)
ノゾミは一撃で鎧騎士を倒していく。鎧騎士は刀に斬られた瞬間、たとえ掠り傷程度でも瓦解していく。
「魔力で構築されているのなら、一撃でぶっ飛ばせる!」
「ほう。良い刀を持っているな。だがしかし、我が兵団の相手ではない!」
ノゾミを10体の鎧騎士が囲み、迫る。
「
ノゾミはそう呟き、刀を両手に持つ。すると、刀身にこれまで吸収してきた魔力が纏わりついた。
「
ノゾミは刀を縦に振る。刀から灼熱の魔力が放たれ、鎧騎士を裂き、ロウジュに向かっていく。
(幻魔刀牢で吸収した魔力を一気に解放した。これでどうだ!)
ロウジュは魔力を帯びた斬撃を――手の甲で簡単に弾いた。
「温い。鎧騎士で軽減され、威力を失ったな」
「げ」
ノゾミの周囲の鎧騎士が一斉に襲い掛かってくる。
「奮闘せよ」
ユーリが命令する。
ユーリの声を聞いたノゾミの体が軽くなる。
(なんだこれ。体が速く動く!!)
ノゾミは高速で動き、鎧騎士の攻撃を躱し、ロウジュに向かっていく。
「強化魔法でも掛けたか。だがまだ温い。我が身体能力には遠く及ばん――」
「堕落せよ」
ユーリが命令すると、今度はロウジュの体が重くなり、膝が折れる。
「……っ!? なるほど……命令を強制させるスキルか!!」
「貰ったぁ!!」
「だが温い!!」
ノゾミの前に鎧騎士が一体現れる。
「たった一体如き……!」
ノゾミは得意の刀術で鎧騎士に斬りかかるが、鎧騎士はノゾミの攻撃を躱しきり、手に持った剣による一撃を刀でガードさせた後、腹を蹴り飛ばした。
「なっ!!」
「我がスキル『
ロウジュが得意げに笑った瞬間、レベル3の鎧戦士が黒い大剣に二方向から刺され、破壊された。
「え……?」
「こっちも教えてやる。僕のユニークスキルは『
ノゾミは護衛を失ったロウジュに斬りかかる。
ロウジュは肩から脇まで裂かれる。だが、
「!?」
傷口から血が出ない。
まるで鎧騎士のように、体を崩していく。
「人形? どういうことだ?」
「そういう戦法か」
ユーリがわかったような顔で笑う。
「使役系のユニークスキルを持つ奴の常套手段だな。術師は身を隠して、召喚したブツでひたすら相手を削り続ける。奴は最初から姿を現していなかった。影武者だけ立てて、本体はどこかで高みの見物をしている」
「じゃあ、いま僕が斬ったのは……」
「恐らく奴の能力で生み出した鎧騎士。姿を変えることができる鎧騎士もいるんだろう」
ユーリはノゾミの傍まで歩いていく。
ユーリとノゾミを囲むように、大量の鎧戦士が生み出されていく。
「うっへぇ。めんどくさいな」
「ノゾミちゃん。これを捌くにはお互い、出し惜しみは無しにした方が良さそうだぜ」
ユーリの怪しむような視線。ノゾミはめんどくさそうにため息をつく。
「お前、やっぱり手を抜いてやがったか」
「そっちもだから五分五分だろ?」
「仕方ないなぁ……」
「1分稼いでくれ。そうすれば俺がこの戦いを終わらせてやる」
「言ったな? 嘘だったら承知しないぞ」
ノゾミは黒の剣を二本ではなく――三本、四本――八本生み出し、己の頭上に浮かばせる。
「おやおやぁ? 聞いてた話の四倍はあるなぁ」
「スキル名『
「この嘘つきめ」
ノゾミは幻魔刀牢と自在に動く八本の大剣で鎧戦士を蹂躙する。
「さぁどうした!? 僕の本気はまだまだこんなものじゃないぞ!! もっともっと出してこい! 全部斬り伏せてやる!!」
ユーリは右手に魔力を集める。
「やれやれ、楽しそうだねぇ。とってもチャーミングな笑顔だこと」
ユーリは脳内にセレ王国の人々を、ユウキを、ポーラを、ノイシェを、ルルを、ノゾミを――そして、あるリザードマンを浮かべる。
「まったく、この世には欲しいモノが多すぎる」
ユーリの右手に魔力が集まり、魔力は禍々しい黒い稲妻を帯びる。
「戻れノゾミちゃん!!」
ノゾミはユーリの指示に従い、ユーリの背後まで下がった。
じゃじゃ馬のノゾミが大人しく命令を聞いたのは、巻き込まれると直感したからだ。ユーリの右手にある禍々しい魔力から危機を察知して下がった。
「俺の本当のユニークスキルは『
ユーリは右手を振り下ろす。すると、ユーリ周辺を除いた周囲100メートルが沈み始めた。
「俺の周囲100メートルの重力を爆増させた。これだけ鎧騎士たちを器用に動かしてんだ。近くにいるんだろう?」
鎧騎士が重力に耐え切れず崩れていく。
草原が剥げていく。草木は圧し崩され、土色が顔を出していく。
だが――一か所だけ、草の色のままの場所があった。
「そこに居たかよ」
敵――この軍勢を率いていた能力者だ。草色のタイツを着て草原に潜伏していたようだが、問答無用の範囲攻撃は避けきれず、地面に顔を伏し、息苦しそうにしている。
「ぬ、ぐぐぐ!! が――」
男は白目を剥き、気を失った。そこでユーリは重力操作を辞める。
「そういうことか」
ノゾミは納得したように頷いた。
「さっき、僕の体が軽くなったのは重力操作で体にかかっている重力を軽減させたから。アイツの体が重くなったのはその逆、ってことだろ?」
「ご名答」
「何が『
ノゾミ&ユーリvsロウジュ、勝者――ノゾミ&ユーリ。
――――――――――
【あとがき】
『面白い!』
『続きが気になる!』
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何卒、拙い作家ですがよろしくお願いします!
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