第六十三話 ロゼの判断
ほぼ同時に王族のいる4ペアがカクレに襲われた時、ロゼは教師や監視員の制止を振り切って迷宮に繋がる門へ走っていた。
「止まれ!!」
「……冗談」
エダの言葉をロゼは笑って流す。
門はロゼが走り出すと同時に、一斉に閉じ始める。ドクトとハヅキもロゼに反応して走り出すが、守護騎士の列に阻まれ出遅れてしまった。もう、ロゼ以外の人間は間に合わない。
ロゼは一直線に、とあるルートに繋がる門へ向かう。
(これまでの迷宮攻略の様子を観察して、それぞれのペアの実力はわかった)
ロゼは妖精を通し、ノゾミ&ユーリ、アイ&ポーラ、ルル&ダズ、ユウキ&ノイシェの戦いぶりを観察していた。彼らの実力をある程度把握したロゼは頭の中で実力順に並べる。
(一番強いのはユーリ君のとこ、二番目がルルちゃんのペア、三番目がポーラのペア。そして――圧倒的に能力で劣っているのはユウキちゃんのとこ!! 助けに行けるのは一つ、ならば一番弱いユウキちゃんのペアがいるルート! Dルートに入る!!)
それに。とロゼは唇を噛む。
(Dルートにいた男が使っていた雷獣……アレには見覚えがある。ユニークスキル『麒麟』! 巨大な雷の獣を出し、使役するユニークスキル。完全に雷獣を召喚するにはチャージ時間を要するけど、チャージ中もその雷獣の力の片鱗を使える。一度目の完全召喚は私の妖精で防げたけど、二度目は……)
一番弱いペアに一番強い刺客が差し向けられてしまった。
もしこれが偶然なら不運としか言いようがない。
(チャージの時間は多分約3~4分。それまでに追いつかないと!!)
一方で、ユウキ達が相手している男以外は大したことが無い。ロゼは他の王族に回していた妖精を消失させ、自身に力を集約。走りながら妖精を補充する。
走りながらの妖精召喚は通常の3倍時間がかかるが問題ない。30秒で一匹補充できればユウキ達と合流する頃には6体は確保できる。麒麟は妖精が3体いれば防げると実証済みだ。
ロゼは閉じかけの門に滑り込み、ギリギリで中に入る。
「少しの間、皇女様を守ってね。頼むわよ……ダンザのパートナー!!」
――――――――――
【あとがき】
『面白い!』
『続きが気になる!』
と少しでも思われましたら、ページ下部にある『★で称える』より★を頂けると嬉しいです!
皆様からの応援がモチベーションになります。
何卒、拙い作家ですがよろしくお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます