番外編その3 第5話 叶う想い
気付いたとき、
森の奥、静かで心地よい魔力に満ちた広場。そこには素朴でありながらも温かみのある小さな家が建っていました。
この場所は、安らぎを感じさせる何か特別な力を持っているようでした。
木々はそよ風に揺れ、そのささやきが
聖女の魔法が
そして
あぁ、愛おしい。すぐにでもその胸に飛び込みたいです。
なぜなら
彼はただ
頬を伝う涙を感じると、それが地面に落ち、小さな花に水を与えるように染み込んでいきました。その一滴に、過去の苦しみと新たな始まりが含まれているようでした。
少しの間、その静けさに浸っていると、家の扉が開いて声が聞こえました。
驚いた
『あなたは誰ですか?ここにはどうやってこられたのですか?』
正直に言うと、誰かが隠れていると思ったのです。
だってそうでしょう?
まさかこの落ち着いた渋みのある声を
「どなたでしょうか?
『あぁ、彼に。そうですか。では、歓迎しますよ。もうじき日が暮れて寒くなります。さぁ、どうぞ中へ』
その言葉に導かれ、
「よろしいのですか?
『魔王……いえ、"魔王"だった方とお見受けします。それが正しいなら主は望みを叶えたのでしょう。長年大変だったと思います。お疲れさまでした。しかし、もしあなた様がお風邪など召されましてはワタシは破壊されてしまいます』
それはまずいですわ。
こんなに暖かいお家が破壊されるのはしのびないことですから、
その柔らかい光に案内されて
『どうぞ、こちらに。お疲れでしょう。まずは何かお召し上がりください。お風呂も用意いたしますよ』
まるで噂に聞く童話の主人公にでもなった気分です。
こんなおとぎ話のようなお家が実在しているなんて、恥ずかしながら知りませんでした。
「勇者様は……?」
『あの方はじきにやってくるでしょう。あなた様がここにいらっしゃるということは彼は"魔王"を倒したことになっているでしょう。であれば、追放されてくると言っていました』
「あぁ……」
なんて人間は酷いのでしょう。
戦いの中に一人の若者を放り込み、いいように使い、用が済めば捨てるなんて。
『あなたのそのネックレス……。何か見れませんか?』
「えっ?」
そうでした。もしかしたら彼の様子がわかるかもしれません。
「来ていますね」
『おぉ、ではともに見ませんか?ワタシはあれが好きなのです』
「……」
このお家に何か疑問を持っても仕方ない気がしたので、
<"勇者"の冒険㊾聖女が本性を出してきた!>
こんな状況でもあの方が楽しんでいらっしゃるのはタイトルを見れば明らかです。
しれっと49番としているのも聖女への恨みつらみなのでしょうね。
46番が全く意味の分からないパーティーの料理特集でしたし。
そうしてしばらくの時間をこのお家で過ごしました。
彼のことを待っていました。
もうすぐやってきます。
会話をする手段はありませんが、"配信の魔道具"がずっと彼の様子を
彼は他の視聴者から、なんというのでしょうか?……いじられる?……そう、弄られています。
はしたないと思われなかったかが心配ですが、みなさんとても喜んでくださいました。
<"勇者"の冒険㊿聖女の自爆!圧政、腐敗、増税のトリプルコンボはやばいwww>
すみませんが、興味がわきませんでした。
どうせ魔王を倒したと浮かれて豪遊三昧の日々を過ごし、お金が無くなって国民から搾り取ろうとしてさらに遊興に使った結果、暴動でも起こされたのでしょう。
あんな
それにしてもこれは事実なのでしょうか?
魔道具の見せる夢とかではなく?
ずっと半信半疑で待つのは少しつらいのですよ?勇者様。
きっと何か理由があって時間つぶしをされているのだと思いますが……。
しかし、ついに歓喜の日が訪れました。
そしてついに彼がこの広場にやってきたとき、
そんな
彼はゆっくりと
少し恥ずかしくなって杖を顔の前に出してしまったのは失敗だったかもしれません。
彼を不安にさせてしまったでしょうか。
でも、彼はすぐに腰につけた剣を放り出してくれました。
心配はないと言われているかのようです。
「無事でよかった」
彼のその一言に、
あの魔道具が伝えてくれることは本当だったんだと。
彼もまた、
そして彼は
あぁ……。
「ずっとこうしたかったんだ」
彼の穏やかな声を聞きながら、
「それは
これは夢ではないのです。これは真実の再会です。
彼は
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